稲作は地力に依存する度合いが高い作物として有名で、
収穫後の稲わらを積極的に土に還すと良いとされる。
ここで不思議に思うのが、稲わらを腐熟させる時に石灰窒素を施用した方が良いという内容があることだ。
石灰窒素はカルシウムシアナミドという農薬的な作用があり、後々窒素肥料として効きを示す資材だ。
シアナミド(CN2H2)の作用機構は様々な生物の代謝に関与する酵素活性を阻害することで、土壌の微生物にも何らかの影響を与えるものだ。
稲わらの腐熟に石灰窒素という言い分は、稲わらを分解する菌や細菌への窒素分の補給とあり、他の窒素肥料では土壌が酸性化するが、石灰窒素は酸性化せずに土壌の微生物の活性低下を抑える事が出来るというのが定説だ。
何か引っかかる。
稲わらの分解に大きく関与するのは、細菌ではなく(キノコ等を含んだ)糸状菌であるはずだ。
一般的に糸状菌はpHが若干酸性の時に活性化する。
シアナミドはいずれはアンモニアのような低分子の窒素化合物になり肥効を示すわけだけれども、それが藁に染み込んでアンモニアの反応性の高さにより藁が柔らかくなったように見えたら、速効性の肥料成分が増え、それは栽培にとって逆効果なのではないだろうか?
石灰窒素は土壌にカルシウムを余計に投入する行為にもなるので、それはそれで心配だ。
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