前回の味噌の中にGABAはあるか?と同じ書き出しになるが、
GABAが獲得免疫に与える影響を探るの記事で、興奮状態の鎮静作用があるとされるGABAの摂取によって、獲得免疫の向上が見られたという研究報告を紹介した。
ここでの免疫向上は唾液中のIgA濃度の変化であり、ウィルス感染の要となる細胞性免疫の方ではなかったが、アレルギーの要因である体液性免疫と細胞性免疫の差も縮むはずで、細胞性免疫の方にも何らかの良い影響を与えていると期待している。
前回の記事で味噌にGABAが大量に含まれていると期待したが、GABA高生産性の乳酸菌は味噌の一般的な塩分濃度では活発化しないらしい。
でもそう落胆する必要はなく、前回の記事で紹介した研究報告では味噌中でも活発化する乳酸菌の活性条件が発見されているので、近いうちにGABAを含み味噌が販売されるはず。
前回の記事で
乳酸菌の発酵食品の定番の糠漬けはどうなのだろう?という疑問で〆たけれども、
その後に以前投稿した糠漬けの栄養に迫るの記事で糠漬けにはGABAが含まれることを記載していた。
糠漬けも細胞の浸透圧の調整で食塩を添加するけれども、糠漬けの塩分濃度であれば、GABAは生産されるのか?と疑問になったので検索してみたところ、
γ-アミノ酪酸(GABA)高生産性乳酸菌の分離とGABA生産特性の解明 富山県食品研究所研究報告 第 6号 (2008)という研究報告に辿り着いた。
実験内容諸々はすべて飛ばすけれども、
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米麹糖化液におけるGABA生産条件を調べた結果、塩分 4%、グルタミン酸ナトリウム濃度 2%、pH4.0の条件でGABAをよく生産した。
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※上記論文の49ページより抜粋
塩分濃度は低すぎてもGABAの生産が落ち、適量の濃度があるらしい。
他のキムチ等の発酵食品との比較も行っていたが、条件が整えば、糠漬けのGABAの生産が圧倒的であった。
※何の野菜を糠漬けの材料とするか?によっても異なる。
GABAは血圧にも関与する成分であるため、GABAで細胞性免疫を改善しつつ、高血圧による免疫の低下も避けられる。
GABAの味覚はクロライドイオンチャネルを刺激するので塩味であるわけで、調理中の食塩の使用を減らすことが出来、更に高血圧から遠ざかる。
これが発酵食品を摂取することで免疫が向上するという根拠であって、どの発酵食品でも良いわけではないという話に繋がってくる。
余談
糠にはカリウム、亜鉛や銅が豊富に含まれる
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