前回のバニリルアミンの生合成の記事で、
By Arrowsmaster - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
トウガラシの辛さであるカプサイシンのバニリル基の方を見た。
※上の図の構造式の左側のベンゼン環がバニリル基
今回は脂肪酸の方を見ることにする。
脂肪酸というのは、
By Mrgreen71 - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link
上の図のように炭化水素が鎖のように繋がったカルボン酸(末尾に-COOHがある)である。
※構造式はCとHが省略でき、各折り目にはCやHがあり省略されている
炭素の長さによって名称が異なる。
上の構造式のようにCとCの間がすべて1本の線で書かれているものを飽和脂肪酸と呼び、
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一つでもCとCの間に二本線がある場合は不飽和脂肪酸と呼ぶ。
ちなみに上の飽和脂肪酸の方が炭素数16のパルミチン酸{16:0}で、下の不飽和脂肪酸の方が炭素数16のパルミトレイン酸{16:1(n-7)}となっている。
植物体内で脂肪酸は細胞膜の重要な要素となっていて、不飽和脂肪酸は流動性が高く凍りにくいという特徴から、寒さ対策として不飽和脂肪酸を増やして耐寒性を増やすという話を以前聞いたことがある。
実際に脂肪酸はどのように合成されるか?だけれども、
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アセチルCoAがくり返し付加されることでC2単位で炭素鎖が伸長する
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※羊土社 基礎から学ぶ植物代謝生化学 27ページより引用
アセチルCoAは呼吸のクエン酸回路の前でピルビン酸から合成され、オキサロ酢酸と反応するところで挙がった。
アセチルCoAのCoAは補酵素A(コエンザイムA)と呼ばれ、
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左からアミノ酸のシステイン、パントテン酸(ビタミンB5)、アデノシン三リン酸(ATP)の順で結合したもので、アセチルCoAはシステイン側にアセチル基(CH3CO-)が付加したものになっている。
脂肪酸の合成の際はアセチルCoAのアセチル基の炭素2個が付与され、徐々に長い鎖になっていく。
生合成を更に追うのであれば、パントテン酸やATPで重要な核酸の合成も見なければならないが、キリがないのでここまでにしておく。
追記
アセチルCoAはメバロン酸経路の出発物質
カプサイシンの材料を見直してみると、これといった特殊な原子というものがないわけで、
各段階で適宜酸化還元反応が行えることが大事なのだと当たり前な結論に行き着く。
カプサイシンについての読み物