糠漬けを探るから乳酸菌の活性に更に迫るまでの記事で、
糠漬けの簡単な仕組みから発酵時の乳酸菌の働きまで調べて記載した。
それを踏まえた上で、
話のきっかけになった質問を振り返ってみると、
水茄子の生産と加工の流れで同じように生産し漬物にしているのに、綺麗な色で美味しく漬かるものと茄子の色が悪く腐敗したようになる茄子があります。ぬかなどの条件はまったく同じなので肥料など生産条件が原因かな?と思っています。(途中省略)昨年もこの時期(5月中)同じような現象が起こり出現パターンをつかめないまま6月勝手に現象が無くなったんです。
ということで、
茄子を漬ける際に残る色素についてを見ていく。
はじめに茄子の果実の皮にある色素について論文検索を行ってみたところ、
この記事の概要に記載されている内容を拝借すると、
ナスの果皮には約4種類のアントシアニン(色素)が含まれており、内90%がモノアシルアントシアニンであるナスニンである。
ナスニンの構造は上の図の通りで、は高い抗酸化性とともに、総コレステロール減少効果、脂質過酸化に対する防御能、および抗血管新生活性等、さまざまな機能性を保有することが報告されている。
非常に不安定な色素であることと、ナスから抽出するには、油脂分を豊富に含むナス皮からの抽出が困難であるなどの問題点があり、これまで色素としての利用はほとんどされていない。
ナスの浅漬け加工では、食塩・ミョウバン等の加工材料とともに、ナスの紫色色素であるナスニンを含む美しい色調の下漬液が多量発生する。
ナス下漬液中のナスニンは、添加されているミョウバン中のアルミニウムイオンと結合して安定なメタロアントシアニンを生成しているため、抽出操作においても変質することが少ない。
ナスニンという色素が不安定ということがわかった。
論文中にナスニンの骨格がデルフィニジンという表記があった。
この色素名、どこかで見たことがあるぞと過去記事を振り返ってみると、
デルフィニジンはアジサイの花弁にある色素と同一の色素であった。
この色素はアルミニウムと結合することで花弁が青色に変色するとあった。
アルミニウムは酸性土壌で溶脱するので、
アジサイの花は酸性土壌で青色の花弁になるという理屈である。
余談だけど、アジサイの青色のための肥料でミョウバンがある。
ということで、
これらの知識を元に茄子の糠漬け時の色素のことに触れていきたいと思う。
-続く-