造岩鉱物の理解を深めるためにケイ酸についてを学ぶの記事でケイ酸について改めて学ぶことをした内容を記載した。


ケイ酸は水に溶けないとされるが、極微量水に溶けることになっていて、

nSiO2 + nH2O ⇄ nSi(OH)4

という反応により、Si(OH)4の形で水に溶けるようになるが、水溶液中で、Si(OH)4同士が重合し、

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※図:ケイ酸とケイ酸塩の化学 ―シロキサン結合をもつ分子・粒子・ゲル― 化学と教育 66巻 1号(2018年)より引用

のような反応が生じる。


これを踏まえた上で、


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玄武岩等に含まれる造岩鉱物のかんらん石の風化について見ていくことにする。




かんらん石は化学組成が(Mg, Fe)2SiO4で示される単独型のネソケイ酸塩鉱物として扱われている。


単独型というのは、水に溶けたケイ酸のSi(OH)4が重合していない状態を指し、


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※図:3つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち|講談社BOOK倶楽部 128ページより引用


のように存在している。

早速、かんらん石の風化について調べてみると、かんらん岩 - 倉敷市立自然史博物館

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かんらん岩は風化するとかんらん石中の2価の鉄が溶け出して、それが水酸化鉄(3価の鉄の水酸化物)になる

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と記載されていた。


化学反応式の係数の帳尻を合わせるのが面倒なので、反応式を端折るが、かんらん石が風化すると、鉄やマグネシウムが溶脱し、ケイ酸も水に溶けるが、ケイ酸同士が速やかに重合して、粘土鉱物に近づくといったところか。


塚本斉等 風化粘土の生成と変遷 - 応用地質29巻 3号 1988によると、一次鉱物のかんらん石が風化して二次鉱物になると緑泥石を経てバーミキュライトになると記載されている。

緑泥石はアルミニウムを含み、かんらん石はアルミニウムを含まないので、かんらん石から単純に緑泥石に変わったという事はなさそうで、周辺の他の鉱物も一緒に反応しているのだろう。


Si(OH)4の重合を意識すると、少しだけ違った見え方になるものだ。