酸素供給剤を試した方からを投稿した時、
SNS経由でビール酵母でも同じ効果がありますというコメントがありました。
実際には前者は酸素の供給で、
後者は何らかの発根促進であるはずだから、
本質的には違うことを見ていることになるのだけれども、
それはまぁ良しとしておこう。
この話以外でも酵母入りの肥料を使って秀品率が高くなったという話を時々聞く。
酵母肥料がハマった時は作物の発根量が増える。
これは一体どういうことなのだろう?と背景を調べてみたところ、
ビール酵母細胞壁が植物の成長や免疫力を向上させるメカニズムを解明 | ニュースリリース | アサヒグループホールディングス
のページに行き着いた。
本来ならば論文を読むべきところだけれども、
このニュースリリースのページのまとめが充実しているのでこのページから抜粋してみると、
ビール酵母の細胞壁を水に溶かして様々な手段で断片化したものを植物の根に与えると、
発根促進と免疫の増加が見られたとのことで、
その仕組みが、
発根促進はビール酵母の細胞壁由来の多糖 β-1,3/1,6-グルカンで
免疫の増加はアゼライン酸によるものだとわかったらしい。
β-グルカンは酵母に限らず菌類の細胞壁でもあるので、
クレジット:photolibrary
キノコの細胞壁もβ-1,3/1,6-グルカンから構成されている。
※β-1,3とかβ-1,6は物質の結合方法を指す。
植物が菌類の細胞壁の断片を吸収すると、
側根の発根を抑制するサイトカイニンの合成量が減り、側根の発根を促進するオーキシンの合成量が増えるとのこと。
植物の免疫の方だけれども、
イネにおいてアゼライン酸で処理したら免疫応答の一種であるジャスモン酸の増加が見られたとのこと。
カニ殻施用と同様の効果か。
酵母の良いところは断片を抽出しやすいところに尽きるわけで、
これらの効果が速効性肥料のように得られることか。
となると、
速効性肥料の注意点にある肥料が即効で効いた後、
それを受け止められるだけの環境が用意されているか?
経験上、これが重要になるはず。
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