諸々を端折るけど、GABAの事を調べていたら、ALMTというアルミニウムによって活性化するリンゴ酸輸送体というものに行き着いた。
ALMTについては岡山大学の植物成長制御グループのサイトの研究内容で読みやすい形でまとめてあるので読んでみると、
研究内容 - 植物成長制御グループ - 岡山大学 資源植物科学研究所
世界中の耕地の大体半分が酸性土壌であり、
日本での酸性土壌は黒ボク土に当たる。
※写真 : 研究内容 - 植物成長制御グループ - 岡山大学 資源植物科学研究所のページより引用
酸性土壌ではアルミニウムが溶け出しやすく、アルミニウムによって根の伸長が停止する。
根の伸長が停止するため、地上部の伸長にも影響を与える。
このような酸性土壌に対して、
コムギの持つリンゴ酸輸送体が根から有機酸を土壌に放出して、
有機酸が土壌中の溶脱しているアルミニウムを包み込んで(キレート)無毒化することによって、
根に悪影響を与えるアルミニウムを吸収しないようにしている。
上の写真のエンドウの生育は極端に根が伸長していないので、
これでは日本にある黒ボク土の地域ではアルミニウム耐性を持たない植物は生育出来ないことになり、
酸性土壌の地域では草むらや森が存在しないことになってしまう。
けれども、実際に黒ボク土の地域では森がある。
ここらへんの追求は長くなるのでここでは止めておいて、
先程の研究内容の途中でMATEというタンパク質が目についたので再び検索してみた。
で、検索で引っかかったのが、
MATEファミリーの1つの遺伝子がソルガムのアルミニウム耐性に寄与する | Nature Genetics | Nature Research
で概要を読むと、
※写真はソルガム(ソルゴー:モロコシ)ではなく、トウモロコシかもしれない
ソルガムで土壌中にあるアルミニウムがトリガーとなってクエン酸を排出する輸送体が活発化し、
クエン酸を土壌に放出する。
クエン酸は根圏でアルミニウムと毒性のない複合体を形成して、アルミニウムを無毒化することで、
ソルガムはアルミニウム耐性を得ているだろう。
上記の論文では、
アルミニウムによってソルガム体内でクエン酸排出輸送体(トランスポーター)のタンパク(MATE)の合成が活発化したことが確認された。
と記載されている。
ある植物ではクエン酸を利用して酸性土壌で生育している。
たった一行の情報だけど、
栽培において、この情報で救われることは数多くあるはず。
クエン酸によるアルミニウムの無毒化を頭に入れておくことにしよう。
更に、
緑肥のソルガムが団粒構造の形成率が高いというもの、
アルミニウム耐性からなんとなくイメージしやすくなった気がする。
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