林縁の林床に行って空を見上げるの記事で、森林、主に林縁の事を見てきた。
林縁というのは、上の図で右側を指す。
右側が陽樹で、
カシは常緑木で葉の色が濃く、表面に光沢があっても陽樹的な性質があるらしく、ここらへんの見分けは難しい。
林縁の陽樹と、若山神社のシイ林の記事で見てきたツブラジイのような陰樹で、一体何の特徴が陰樹になり得る要因なのだろう?ということをこれから見ていく事にする。
名古屋大学出版会出版からされている広木詔三著 森林の系統生態学 -ブナ科を中心にという本を再び持ち出す。
この本では各章で陰樹に関しての話題が挙がっている。
例えば、スダジイとツブラジイやタブノキとスダジイの比較といったもの。
前者を例にして、陰樹の要素である耐陰性はスダジイ < ツブラジイと記載されていて、耐陰性として葉の大きさ(厚さ)と呼吸量を挙げていた。
※陽葉
※陰葉
陽葉と陰葉の記事で一本の木であっても、光の当たり方(林冠や林床付近の葉で受ける光量は異なる)で葉の形状が異なることに触れたが、陰樹では陽葉が陽樹で言うところの陰葉に当たり、陽樹の陰葉は更に薄くなるといったイメージで大方間違いはないはず。
上記の本では、(表層であるが)葉を構成する層の数も少なくなるという話題が記載されていた。
葉の維持コストが少なくなれば、林床のような光が届きにくいところでの我慢大会のような環境において、耐陰性が高い植物種は枯れずに生存できるわけで、成長が遅くても生存コストが少ない種が有利となる。
上記の本では、陰樹間の生存競争において、呼吸量の多い方がネズミに気付かれ易く、根元をかじられ、呼吸量の少ない方が生き残り易い?という内容も記載されていた。
この図でいう、カシより左側の陰樹の箇所はとても成長が遅い木々で構成され、とても長い年月をかけて構成されるといった予想があることも合わせて記載されていた。
朝倉書店から出版されている森林生態学の本で枝葉の成長パターンの記載があったが、ツブラジイ等で適用できるか現時点での知識レベルでは不明なので今は触れない事にする。
他にもクチクラで遮光するという話題もある。
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