忍者の撒菱の記事で忍者が使う撒菱(マキビシ)は菱(ヒシ)の実を原型として作られたという内容を記載した。
このヒシは忍者が追手に対して足元に撒いて歩きにくくするといった使い方の他に、袋に入れてそのまま投げて武器にしたり、皮を割ってタネを非常食として食べるといったことをするそうだ。
この話を聞いた時に、タネは量が少ないので非常食として腹は満たされないだろうと頭に浮かんだ。
であれば、ヒシには他の効果、例えば身近にあったものを採って食べた時に腹を下したとして、その薬効としてヒシを摂取するといったことがあるのでは?と思い、食用としてのヒシについて調べてみることにした。
三重県のサイトで三重の野野菜・磯物・川物という資料が配布されていて、その中にヒシも記載されていた。
ヒシの実はデンプンが豊富に含まれていて、遥か昔から救荒用の食料として扱われていたそうだ。
この資料を読み進めてみると、
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胃腸をよくし、五臓を補い、暑を解き、消渇を止む
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と記載されており、ヒシには漢方として使用されていたという記載がある。
暑を解きまでは風邪の諸症状を指しているので、風邪薬としての一面があるのだろう。
消渇というのは現在でいうところの糖尿病に当たるらしいので、糖尿病が抑えられるものといえばポリフェノールを含むフェノール性化合物が真先に頭に浮かぶ。
というわけで、ヒシとポリフェノールについて更に調べてみたら、大曲希実等 ヒシ外皮に含まれるポリフェノールの特性と機能性の報告 - 日本家政学会 66回大会(2014年)で
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ユーゲイニン等の三種のポリフェノールが含まれていたそうだ。
水酸基(-OH)をたくさん含む化合物なので、アントシアニン等のよく見聞きするポリフェノールよりも反応性が高そうだ。
ただし、これはあくまでヒシの外皮なので、非常食として摂取するときには得られないかもしれない。