※露頭の横にあった看板に記載されていた図
三和町莵原下のP/T境界の記事で京都府福知山市の指定文化財であるP/T境界の露頭に到着したところまで記載した。
今回の話をする前に少しだけP/T境界について復習しておくと、P/T境界というのは古生代のペルム紀と中生代の三畳紀の時代の境を指す。
地質学では時代境界は新たな生物種の誕生を指標にしていて、この境界を堺に恐竜誕生以前(古生代)と恐竜誕生以降(中生代)に分けられる。
今回の境界の大きな特徴として、地球史上最大の大量絶滅があったのでは?とされていて、この大量絶滅というのが海中の無酸素状態に依るものが有力説であるとされている。
※海生生物の90%近くが死滅したとされる
この露頭の下部は恐竜誕生以前のペルム紀末期の地層で、上部が三畳紀初期の地層となり、生物大絶滅前後の地層が連続している。
古生代の灰色のチャート・形質頁岩からは放散虫の化石が、
中生代の頁岩からはコノドントという化石が発見されている。
古生代型の放散虫が絶滅し、中生代の黒色の泥がたまる無酸素状態の海底に生物の痕跡が見られるようになった経緯がこの露頭からわかるらしい。
福知山というのは海から離れた場所なのになぜ海生生物の話題が?という疑問になるけれども、日本列島の大半は遠く離れた海洋で形成されたプレートの上に堆積したものから形成されていて、今回の露頭も今で言うところの太平洋の中心あたりから移動してきた堆積物から形成されているため、地層の年代測定に用いられたものが海生生物の微化石となる。
地球史上、無酸素状態になり得る条件として、海底に堆積したメタンハイドレートが海中に溶脱してきたことに依るものがある。
人が石油を使い、石油が枯渇したからメタンハイドレートの採掘という話題が、今回の露頭から得られた結果とダブって仕方がない。
腐植として土壌に固定であったり、炭酸塩であったりと大気中の二酸化炭素を固定して安定化させる技術というものが最重要になるのだろうなと最近思うことが多くなった。