乳酸菌のことを調べていたら、乳酸菌Lactobacillus plantarumを使った微生物農薬の開発 日本農薬学会誌 40(1), 12 日本農薬学会誌という論文が引っかかった。
読んでみると、ハクサイの軟腐病用の農薬として触れられていた。
農薬と言えば、作用機構が気になるところで読み進めてみる。
乳酸菌といえば、
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糖から乳酸を合成する細菌の総称で、特定の細菌を指す名称というわけではない。
乳酸はpHが低い為、乳酸菌が活発になると周囲のpHが下がるのが特徴で、低pHの環境に他の菌が入り込めないという現象が生じる。
周囲の環境のpHを下げる以外では、バクテリオシンという抗菌活性を持ったタンパク質を合成する。
乳酸菌は特定の細菌を指さないため、乳酸菌によって様々な二次代謝物質を合成する。
※二次代謝は生物が生育に直接必要としない物質のことを指す
元々は乳酸菌の二次代謝物質について興味があって、乳酸菌のことを調べ始めたという経緯で乳酸菌由来の農薬の論文が引っかかったという流れになる。
これらのことを踏まえた上で本題。冒頭の論文に記載されていた作用機構は、乳酸菌 Lactobacillus plantarum 由来のBY剤で試験したところ、乳酸菌特有の抗菌作用は確認できたが効果は低く主因ではないと判断した。
乳酸菌がハクサイに与える影響を調べてみたところ、ハクサイ側で乳酸菌による抵抗性誘導が見られた。
ハクサイの葉にBY剤を吹きかけたところ、乳酸菌密度の上昇が確認できたため、軟腐病菌との競合が発生している可能性がある。
要約すると、乳酸菌由来の農薬により軟腐病菌の個体数を減らしつつ、作物に免疫を持たせるというのは作用機構となる。
更に素晴らしい特徴として、乳酸菌自体がグラム陽性細菌であるため、グラム陰性細菌用の農薬との併用が可能であるということ。
※軟腐病菌はグラム陰性細菌
作用機構を見る限り、乳酸菌の増殖が鍵になっているので、アミノ酸肥料との併用で効果が高まると予想できる。
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