レンゲに限らず、すべての緑肥で頻繁に挙がる質問の一つとして、
緑肥は花が咲く前に刈るか、花が咲いてから刈るか?
というものがある。
これは非常に難しい問題だけれども、質問があった時は刈る前だと伝えている。
刈る前と答える理由は、花を咲かせるというのは非常に大きなエネルギーを使うわけで、
※単位は%
一般的な花粉の成分を見ても、様々な養分が含まれ、これらの成分が畑の外環境に持ち出されてしまう。
花粉というのはこれから分裂が活発になる細胞であるため、おそらく亜鉛を多く含んでいると予想される。
亜鉛といえば、あまり欠乏しないと言われる微量要素の一つだろうけれども、最近の土壌の酷使によりじわじわと亜鉛欠乏に陥っている所が多いのではないか?と予想している成分の一つである。
他にも花蜜の中にもそれなりに合成が大変な香り成分等が含まれる。
そんな花粉や花蜜を昆虫は食べたり、どこかに運んだりする。
緑肥の刈り取り時期を開花の前後のどちらか問題に戻って、開花後の方で迷うかというと、開花後、植物体は何らかの変化があって、その状態で鋤き込むことの有用性が一切検討されていないので、記事中では開花後にある可能性を捨てない意味を込めて、難しいという回答にしておく。
話はレンゲ米の質を向上させることはできるか?の続き。
水田の冬季のレンゲ栽培といえば、景観の面や主要蜜源の意味で花を咲かせてから刈り取るのが一般的である。
高槻の清水地区でレンゲ栽培をしていた方も、レンゲが花を咲かせた頃はとにかくたくさんのミツバチが飛んできたと言っていた。
ミツバチは花粉を育児に使うので、自身の食料以上に花粉を持っていく。
※レンゲは多花粉型蜜源に分類されている
レンゲを育てる時は、貴重な亜鉛を相当持っていかれていると意識しておいた方が良さそうだ。
話は逸れるけれども、レンゲを主体としたハチミツは亜鉛が多そうだ。
話をまとめると、緑肥としてのレンゲの栽培は花を咲かせることが前提になるので、事前にしっかりとした土作りが必要になりそうだ。
※土作りに関しては前回の記事を参考にする
ただでさえ、前作の米も花粉の合成、風媒花で受粉で実を収穫する作物である上、
花粉の一部はミツバチに持っていかれるということもある。
稲作は川からの入水時に山からのミネラルが入ると言うけれども、それは地域によってどのような成分が入ってくるか?は異なるので、この不明確さに期待をしてはいけない。
余談
耕作放棄地を活用して、養蜂の蜜源の確保の為にレンゲを育てようという流れがあるが、耕作が放棄された経緯が収量が落ちたという理由であれば、その畑の蜜源から出来たハチミツの品質はあまり期待出来ないことになる。