田植え前から観察しているレンゲ米の水田
レンゲ米の水田からイネの生長を考えるの記事で触れた通り、比較対象として観察している周辺の畑と中干し後から興味深い差が生じ始めた。
上の写真は比較対象の地域の慣行的な栽培の田だけれども、日差しの関係から明確に撮影するのは難しいが、
全体的に葉色が薄くなっている。
この現象は他の畑でも同様。
この時期は幼穂形成の時期で生殖器官への養分転流が盛んになる時期なので、葉色が薄くなるのは当たり前の現象ではあり、葉の老化として考えられている。
養分転流は糖やアミノ酸だけでなく、亜鉛等の微量要素の運搬も重要で、根からの養分吸収量が多いと新しい葉での養分転流の利用率が低くなるとされているし、発根が盛んであれば様々な葉でサイトカイニンの濃度が増す。
サイトカイニンは葉の老化を抑制するという作用もあるため、今の状態と合致する。
※比較区が単純に今の気候に対して株が適応していない可能性もある
なぜいま葉寿命なのか?葉の老化に影響を与える環境要因と葉の老化の制御機構 - 日本生態学会誌63:49 - 57(2013)
光合成が盛んになる時期が暑い夏にシフトしたとなると、連日猛暑のこの時期にできる限り光合成を盛んにする環境を設けることで、穂へまわせる養分を多くできる可能性がある。
となると、地温や葉周辺の外気温、葉の紫外線対策が重要になるわけで、夏の水管理の重要性が増すはずだ。