キノコを調べていると、食以外で様々な視点を得られるわけで、マッシュルームの栽培から温床培土の事を考えるの記事では、有機栽培の技術の評価の視点を得る事ができた。

引き続き、何か興味深いことがないかと調べてみることにする。


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検索をしていたら、ブナシメジに関して、岡田昌己等 ブナシメジに含まれるプロテアーゼの筋原線維タンパク質分解作用 - 日本家政学会誌 Vol.66 No.1 19〜24 (2015)という研究報告に辿り着いた。


要約すると、ブナシメジの子実体(普段食べている部分)にある酵素が豚肉を柔らかくする(食品軟化)というもので、得られた酵素が温度やpHによってどれ程の影響を受けるか?を調べている。


pHは広い範囲で反応しているので端折る事にして、温度の方は60℃以上の処理では完全に失活しており、40℃で酵素活性が減少している。




おそらく研究報告の想定とは異なると思うが、今回の内容をキノコ鍋に当てはめて考えてみると、


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鍋でより軟化された豚肉を食したい場合、鍋に入れる順番を検討する必要がある。

私が把握している一般的な鍋に入れる食材の順序は、

・出汁に関するもの。魚介だしや野菜だし(ゴボウ等)、鶏肉から出汁を取りたい場合は鶏肉も含む

・火が通るのに時間のかかる根菜類やキノコ

・火が通りやすい葉菜類や海藻

・豚肉等

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鍋の場合、一番目の出汁の時点で既に火を入れているわけで、キノコを入れた後の肉の時点では酵素が失活していることになる。

鍋の肉で軟化が必要かは知らないが、もし軟化をするのであれば、肉の下ごしらえの際に肉の容器にキノコを入れておいて、しばし待った後、この容器からキノコを取り出す。

これでより柔らかい食感の肉を食すことが出来るはず。


最後に今回の話で得た知識だけれども、窒素肥料過剰でイネの葉の色が濃くなるのはなぜだろう?で触れた内容に発展していく予感がある。