米の粒を大きくしたいという相談があったの続きまでの記事で、稲作と米の加工を行っている方から米の粒を大きくするにはどうすれば良いのか?について整理してきた。
これに対して、実の形成時の養分転流を意識することが大切だと触れ、植物ホルモンの観点から養分転流が最大になるようにすることを考えた。
養分転流を最大にする件に関する一点目は、初期生育時の発根を活発にする事で、栽培後期の養分転流を活発化する。
二店目に必要になるのが、おそらく地力窒素なので、今回は地力窒素に触れていくことにする。
地力窒素は曖昧な用語なので、あまり好きではないが、頻繁に使用されるので整理しておく。
地力窒素の定義を挙げておくと、
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土壌肥沃度の指標で、微生物により分解、無機化されて作物にとって利用可能になる土壌窒素をさす。
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※地力窒素-ルーラル電子図書館―農業技術事典 NAROPEDIAより引用
となっている。
これだけではよくわからないので、窒素肥料全般の話から触れておく。
窒素肥料というのは不思議な肥料でたくさんの形態があり、形態毎に肥効が異なってくる。
窒素肥料を大きく分けると、無機態の窒素と、有機態の窒素に分けられ、これを更に細かく分けると、
○無機態窒素
・硝酸態窒素(硝安、硝酸カリや硝酸石灰等)
・アンモニア態窒素(硫安、硝安や尿素等)
※名称に安(アンモニア)が付くものがアンモニア態窒素なので、硝安(硝酸アンモニウム)はどちらにも分類される
○有機態窒素
・アミノ酸
・ペプチド
・核酸
・タンパク
となる。
無機態窒素は水に溶けたり、土壌微生物の関与が一回程度で肥効を示すもので、有機態窒素は土壌微生物らに「タンパク → ペプチド → アミノ酸 → アンモニア → 亜硝酸 → 硝酸」の順を経て分解され無機化され肥効を示すものになり、タンパク等が地力窒素の候補となる。
それでは、土作りにタンパク含量の多い堆肥を用いれば良いか?というと、タンパクの分解は想像よりも早いので、栽培後期に都合よく肥効を示すという事は期待出来ない。
以前、地力窒素関連の話題を挙げたことがあって、その内容というのが、
乾土効果を考えるの記事で触れた冬期に田の土を荒く起こして、土表面を乾燥させる事で、土に吸着した有機物を剥がし、微生物が分解しやすい状態にする。
ここに水を加えると有機物の分解が進み多量のアンモニアが発生するという内容だ。
これは地力窒素の肥効の前倒しのテクニックに当たり、地力窒素は土壌粒子に付着している有機化合物だと予想出来る。
であれば、地力窒素の増強の方法は一点に絞られることになるが、話は長くなるので次回以降に触れることにする。
- 続く -