takatuki_shimizu_rice


今回は米の粒を大きくしたいという相談があったの内容の続き。

前回の記事では近隣にある田で同じ施肥設計で栽培方法も同じにも関わらず、米の粒の大きさが違うという話題で、違う点を整理したら田植え前のレンゲの栽培履歴に差があった。

であれば、田の有機物の量とレンゲ由来の地力窒素に差がある可能性が高いという当たりを付けることが出来た。


この話題が挙がった時に、レンゲ栽培の期間が短い方に即効性の窒素成分の追肥をした方が良いですか?という追加の質問が挙がったがおそらくそれは違うと思うと返答した。

今回は上記の予想について記載していきたい。




粒の大きさと聞いて真先に思い浮かべたいのが、


nutrient_translocation


葉から果実への養分転流だ。

養分転流にはサイトカイニンという植物ホルモンが密接に関わっている。

師管の働きと圧流説


イネの養分転流という名称を聞くと、古い葉が黄色くなりつつ、新しい葉に養分が転流して、古い葉が枯死することがすぐに連想されるけど、今回触れている養分転流はここまで極端な話ではない。

イネの養分転流


イネの実が充実する間、なるべく多くの葉が緑色のままで居続けなければならない為、養分転流の基となる亜鉛の量は意識しておく必要がある。

亜鉛欠乏と植物のオートファジー




次に実への養分転流を盛んにする為に考える事はサイトカイニンの合成量だろう。

サイトカイニンの合成は単純でないが、高校生物で習う合成であれば、実が形成される前の発根量が勝負になるはず。

イネは長い育種の歴史においてサイトカイニン含量が増えた


サイトカイニンは発根にネガティブな影響を与えるので、サイトカイニンの合成の基となる発根は初期生育時に徹底しておきたい。

レンゲ米の水田からイネの生長を考える


であれば施肥でやれる事は絞られてくる。