キャッサバの根には毒がある。
しかもその毒は青酸配糖体だという。
青酸配糖体といえば、バラ科のウメの未熟な実や同じくバラ科のモモのタネ(桃仁)に含まれていて、強烈な毒で有ることで有名だ。
そんなにも強烈な毒性にも関わらず、キャッサバは世界の主要イモ類5種として扱われている。
強烈な毒があっても、キャッサバはそれ以上の良さがあるのだろうということで、キャッサバについて調べてみることにした。
まずはキャッサバの根に含まれる毒について把握しておこう。
安渓貴子 アフリカ大陸におけるキャッサバの毒抜き法 ―技術誌と生活誌からの再検討― 熱帯農業 49(5) 2005という興味深い読み物にたどり着いたので読み進めてみると、キャッサバに含まれる青酸配糖体は
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大半がリナマリンと呼ばれる化合物であるそうだ。
上の図の状態であれば無毒であるが、右上のシアノ基(-CN)から糖が外れた時に毒性を示す。
興味深いのが、キャッサバの細胞壁にリナマリンの毒性を減らす酵素があるそうで、調理法(毒抜き)を丁寧に行えば問題はないそうだ。
キャッサバの話で興味深いのが、通常の個体選抜(育種)では毒性の少ない個体を選抜していくらしいが、キャッサバではそうではないそうだ。
有毒品種が選ばれた理由に関して明確な答えはないが、有毒品種の方が収穫できる期間が長く収量が多いという事があるそうで、害獣や害虫に強いという特徴もあることから選抜され続けているという説があるそうだ。
人は毒抜きが出来るが、獣は毒抜きができないという特徴をうまく捉えて食料を確保するということか。
日本におけるヒガンバナのようだけれども、それを主要イモ類の作物でやってのけるなんて素晴らし過ぎる。
主要作物が含まれる科の植物には興味深い話がたくさんあるな。