銅から活性酸素が生成される仕組みを知りたいの記事で、銅から活性酸素が発生する仕組みを知りたくなり、考えれば考える程、活性酸素について理解していないことに気が付いた。
とりあえず、前回の反応で見た
Cu(Ⅰ) + H2O2 → Cu(Ⅱ) + ・OH + OH-
で強力な活性酸素であるヒドロキシラジカル(・OH)の生成に関わる過酸化水素(H2O2)の構造を見ることにしよう。
化学式をざっと見ると、水(H2O)に酸素イオン(O2-)が付与したような形に見えるが、
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構造式を見てみると、酸素(O2)に水素が付与した形になっている。
ここで私の人生を大きく変えた良書の
星屑から生まれた世界 - 株式会社 化学同人の内容を持ち出してみる。
基質に電子を与え、その箇所に水素(H)で蓋をするように捉えるとわかりやすい。
であれば、過酸化水素は酸素(O2)の片側に電子(e-)を与え水素(H)で蓋をする。
逆側にも電子を与え水素で蓋をすることで生成される。
一つ目の酸素に電子を与えるの箇所のみをピックアップしてみると、
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スーパーオキシド(・O2-)という活性酸素になる。
スーパーオキシドは左上に不対電子(・が一つ)の箇所があり、自身が安定する為に電子を欲しがっている。
もし、スーパーオキシドが周辺の何らかの化合物から電子を奪ったとするならば、その化合物は酸化されたということになり、スーパーオキシドは酸化する側であることがわかる。
※酸化は何らかの化合物が電子を奪われた状態を指し、還元は化合物が電子を受け取った状態を指す。
スーパーオキシドは
2・O2- + 2H+ → H2O2 + O2
という反応を経て、過酸化水素が生成され、電子を欲しがる箇所は水素により覆われ、酸化力が低い活性酸素となる。
※上記の反応は自然に発生する
前回からの内容を整理すると、
※図:中村成夫 活性酸素と抗酸化物質の化学 - 日医大医会誌 2013; 9(3)165ページより引用
となる。
銅には電子を与えるという特徴があるので、O2から・O2-とH2O2から・OHへの反応のどちらにも関与しているはず。
ちなみに・O2-や・OHの不対電子を活性酸素をフリーラジカルと呼び、強い酸化力を持つ。
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