前回、光合成の明反応の詳細を見て、水から電子を取り出して、その電子の動きを見つつ、各所で動いている物質のことを見た。
とはいっても、すべてを見たわけではないので、今回は残りを見ていく。
はじめに図の中央にあるシトクロムb6fを見ると、この個所はシトクロムがたくさんある場所で、シトクロムというのは、酸化還元機能を持つヘム鉄を含有するヘムタンパク質である。
ヘムは
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上記のように凸凹した四角っぽい構造()をとったタンパク質の中心に二価鉄が配位したもので、電子の移動に関わる物質である。
※プロトポルフェリンの中心にマグネシウムが配位するとクロロフィル
上のプロトポルフェリン(ヘムの前駆体)はアミノレブリン酸がいくつか結合して形成され、アミノレブリン酸はグルタミンから形成され、グルタミン酸はヘムによる硝酸の酸化と有機酸によって合成される。
何が言いたいか?というと、少し脱線だけれでも、シトクロムの電子の運搬は光合成の中だけでなく、アミノ酸の合成、更にはクロロフィルやヘムの合成に関わる。
続いて、PC/Cytcだけれども、PCはプラストシアニンというタンパク質で、Cytcはシトクロムcの略称である。
後者は既に触れたのでこれ以上は触れないとして、プラストシアニンは銅を含んだタンパク質である。
他に見るべきものは、FdとFNRで、Fdはフィレドキシンの略称で鉄-硫黄(Fe-S)クラスターを持つ鉄硫黄タンパク質である。
FNRはフィレドキシン:NADP+酸化還元酵素の略称でフィレドキシンが運んできた電子を元にNADPHを作る酵素である。
とりあえず、これで光合成に必要な要素というものがわかった。
光合成を行うにあたって、大量のクロロフィルとヘムが必要で、前提としてプロトポルフェリン合成のためにグルタミンを多く必要とする。
光合成内の太陽光の受光と電子の運搬にはマグネシウムとおそらくマグネシウムと似たような量の二価鉄を必要とする。
水から電子を取り出す為に、少量のマンガンとカルシウムが必要で、光化学系Ⅱから光化学系Ⅰに電子を渡す際に、銅を含むタンパク質が働く
ところどころで鉄硫黄タンパク質が働いているので、硫黄も光合成にとって重要な要因となる。
ここで今まであまり意識はされなかったけれども、そこそこの量が必要だと予想されるものとして二価鉄が挙がる。
鉄ではなく二価鉄と表記するのは意味があって、そこらへんは次回に触れることにしよう
- 続く -