速さの代償で、速効性、つまりは水に溶けやすい肥料は土壌のpHに影響を与えやすいから気を付けろ。
という話を記載した。
それと同じぐらい気を付けなければならないことがある。
それは土壌水分のイオン濃度である。
最初に疑えというぐらいカリウムが大事で、植物の根は周りの環境よりも浸透圧を高めることで水を吸収するわけで、溶け易い肥料を多用すると、当然、土壌水分のイオン濃度は高まる。
でも、肥料だからイオンになったら植物に吸収されるんじゃないの?
という話になるけれども、
By Edgar181 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
硫安を例にして、植物に吸収されるのは、左側のNH4+の方だけで、右側の硫酸イオン(SO42-)は土壌に残る。
他に多用するものとして、石灰があるけれども、ついついカルシウムが多投になり過ぎて、土壌中にカルシウムイオン(Ca2+)が残る。
これら二つのイオンが結合し、土壌中に大量の硫酸カルシウムが蓄積するというわけだ。
この硫酸カルシウムは若干の水溶性で、最初の頃は何も変化が見られないので、ついつい石灰や硫安を使いすぎてしまい、いつの間にか、若干の水溶性であっても、水があれば必ず溶けている状態という事態に陥る。
これね。
白くなっているところが硫酸カルシウムか他の構成の石灰なんだけど、見ての通り、石灰が過剰になり過ぎて、おそらく白い箇所周辺の浸透圧が高まったのだろう。
ひび割れや植物が枯れるという事態になっている。
こういう植物が育たなない程土壌の浸透圧が高まった状態を塩類集積と呼び、日本各地で発生している農業問題である。
植物が吸水できない問題とカルシウム過剰による他の要素の欠乏症が同時にくるので、ダメージは大きい。