光合成の明反応-後編までの記事で、植物は太陽光を受光することで光合成を行うわけだけれども、その光合成という反応において最も注目されているのが電子の移動であって、その電子の移動には多くの鉄(特に二価鉄)が必要とされることがわかった。
※実際には鉄を含むタンパク質
鉄はFe2+とFe3+の状態をとり、二価鉄は前者のFe2+の方を指す。
プラスが一つ少ない、つまりは電子e-が一つ多い。
鉄は電子を受け取りやすく離しやすいという特徴があるため、鉄は電子の運搬に関わる。
電子を受け取りやすく離しやすいという特徴があるため、運搬中に電子をこぼしやすく、その電子が周辺の酸素に触れることで活性酸素が発生しやすいということもあり、二価鉄の過剰症は作物に限らず人体でも注意が必要とされる。
逆に、鉄の電子を受け取りやすく離しやすいという特徴は、二価鉄Fe2+が大気に触れるとすぐに酸化されてFe3+になりやすい。
光合成の説明の際に電子が頻繁に現れたけれども、なぜこんなにも電子に着目するかというと、量子力学で生命の謎を解くという記事の復習にもなるが、
かの名著、星屑から生まれた世界にあった電子の説明を抜粋すると、電子は糊付けのように使用し、水素はあるものを塞ぐように使用するということで、生体内で合成される様々な物質は電子によって糊付けしたり、硬い物質の分解の時は電子をぶつけることによって分解が進む。
更にいうと、電子自体が体を動かすためのエネルギーとしても働くため、電子は成長や運動のどちらにしても超重要な要因となる。
実際に植物はどのように二価鉄を得ているのか?というと、有名な話で鉄吸収戦略がある。
鉄吸収戦略はキレート鉄の使いどころで触れたのでサラッと書くけども、土壌中の鉄の大半はFe3+(Fe2O3)で、植物の根から鉄を還元するための有機物を分泌して、Fe2+イオンに変えてから吸収するストラテジーⅠ型と、Fe3+をそのまま吸収して体内でFe2+に変えるストラテジーⅡ型がある。
どちらにも共通して言えることは、体内で糖等から取り出した電子を使ってFe3+を還元(電子を与えるしてFe2+にするという反応がある。
鉄を還元する電子を他に回せたらどうなるのか?
攻めの肥料を一つ挙げろと言われたら、おそらく二価鉄主体のものになるだろう。
活性酸素を多く発生させてしまうという過剰症というリスクはあるけれども、使いこなせることができれば生育は圧倒的に良くなる要素がある。
ここで疑問になるのが、二価鉄は大気に触れるとすぐに酸化されてしまうのでは?ということがあり、肥料としての運搬は難しいだろうという判断になるけれども、
二価鉄は有機酸等で包み込んでしまえば酸素が触れることがなくなり、二価鉄のままで運搬は可能とされる。
これがいわゆるキレート鉄と呼ばれるものだ。
-続く-
関連記事