先日、施肥設計の見直しで農薬防除の回数は確実に減らせるの話から菌根菌の話題になった。

菌根菌というのは、植物の根で共生するエンドファイトの一種で、冒頭の記事で話題になっているネギでも共生が確認されている。

エンドファイトと呼ばれる菌たち


冒頭の記事のネギで菌根菌と共生関係を築いているかどうか?は置いといて、今回の記事は菌根菌について触れておく。




菌根菌にはいくつかのタイプがあって、植物の種類(果樹であるかとかランであるか)によって共生する菌は異なる。


タイプについては当ブログが草本の作物が主なので、草本の作物と共生するグロムス菌門(以後、グロムスと略す)についてのみ見ることにする。

グロムス門 - Wikipedia


グロムスはほとんどの陸上植物に感染することができ、宿主の植物に感染して共生関係を築くとアーバスキュラ菌根を形成する。


アーバスキュラ菌というのは、


※アーバスキュラ菌根の断面。根の皮膚の一部を示す

※図:大園享司著 共立出版 基礎から学べる菌類生態学 102ページより引用


樹枝状体(アーバスキュル)と嚢状体(ベシクル)と呼ばれるものを寄生した宿主に形成する

※これらの形状を植物の内部に必ずしも形成するわけでない


アーバスキュラ菌根が形成されると、植物の根よりも非常に細く(根の直径が宿主の細根の1/200)、植物の根よりも非常に長い(通常の根の4万倍)根が形成され、宿主の植物の根が到底到達できないような深さにある養分を吸収できるようになる。

こんな深さにある養分といえば、おそらくだけれども、風化があまりされていない岩石由来のものだろうから、吸収が難しい重金属あたりだろうと勝手に思い込んでいる。

I-W系列と各微量要素




アーバスキュラ菌根が形成された際に目立った機能の向上といえば、宿主の植物が吸えないようなリン酸の吸収が促進されるのと、菌根という共生菌であっても宿主にとっては感染されていることに変わりないわけで、感染時に宿主側で感染に関する機能が刺激される。


病原菌は植物側の免疫作用を潰しにかかるけれども、グロムスは潰しにかからない為、感染の刺激だけ与えて病気の症状が出ないということで、宿主にとってワクチンのような効果があると考えられている。

防御の植物ホルモン、サリチル酸


他にも乾燥や塩に対する耐性を向上して、栽培者にとって菌根菌との形成は絶対に利用したいもの。

特に生育初期段階の育苗で菌根菌と形成されたら、その後の栽培はかなり安心出来る。


だけれども、栽培中の大半の畑の土質では菌根菌の形成が難しいと予想される。


なぜなら、植物にとって共生というのはそれなりの負担があるらしく、植物が菌と共生せずに養分を吸収できるような環境であれば、菌根菌との共生を結ばないとされている。

とりあえず一番大事な感染についてを残して、今回はこのあたりで止めることにする。