子供が小さな小さな虫図鑑 | 偕成社 | 児童書出版社を読んでいた。
小さな虫という言葉で、
ヒメトビウンンカやトビイロウンカが頭に浮かんだので、これらの昆虫はどのように記載されているのだろう?と読んでみたら、
稲作にとっては害虫だけれども、生態系においては重要な位置を占めている昆虫であると記載されていた。
ウンカはカエルや水生昆虫の重要な餌となるらしい。
ウンカの説明を読んだ時、
ウンカの発生時期の直前に行う中干しが頭に浮かんだ。
殺虫剤はもちろん上記の動物らに影響を与えるだろうけれども、中干しも上記の動物らにとって悪影響を与えるのではないか?
ということで、早速検索してみることにした。
中干しを実施しない水田でみられた水生動物群集の季節消長 環動昆 第25巻 第1号:11-21(2014)に辿り着いたので読んでみると、予想通り、中干しが水田に集まる動物たちに影響を与えていた。
中干しはちょうどオタマジャクシからカエルに変態する時期でもあるので、水田付近で変態してほしいところ。
慣行的に行われる中干しが後の秀品率に悪影響を与える可能性が十分にあり得ることがわかった。
稲作の中干しの意義を整理するの記事で触れたが、中干しは栽培開始から中干し前に土壌中に溜まった毒性のガスを抜くことが主の目的で、ガスに因る発根障害を回避する為の手段であった。
※おそらく中干しには発根を積極的に促進する効果はない
猛暑対策やウンカ対策として中干しをしないという選択をすべきだろうけれども、
栽培中に蓄積されるガスの影響が怖い。
中干し後のレンゲ米栽培の田の様子までの記事で触れたが、レンゲ米栽培の水田では中干しでうまくひび割れしなかったにも関わらず、生育障害等は見られなかった。
おそらく、田植え前のレンゲの栽培によってガスの発生源が小さくなっているのだろう。
ウンカ対策は中干しをしないための環境作り、つまりは田植え前の肥料の選定、もっと遡れば、田植え前の土作りによってガスが抜けやすいようにする物理性の改善から行う必要があることがわかった。
冬期灌水という手もあるかもしれないけれども、田植え後の生育を考えたら、レンゲ米の方が有用である可能性が高い。
冬期灌水有機栽培水田でトビイロウンカの被害が増えた報告から得られること
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