以前からキク科のゴボウに将来性を感じている。
ゴボウといえば、
・フカフカの土でなければならない
・農機具に汎用性がなく、栽培コストが高い
・連作障害が発生しやすい
といった内容でネガティブな要素から嫌煙されることが多いが、その内容を覆う程のメリットの多さもある。
ゴボウの持つメリットは今後予想される社会保険の増額に対して解決できる可能性を秘めていて、マーケティング次第で栽培の負の要因は軽減できると信じている。
以前、野菜の美味しさとは何だろう?ポリフェノールと食物繊維の記事で
By Florian Fisch - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
イヌリンという水溶性の食物繊維について触れた。
上記の記事中ではイヌリンは整腸作用があると記載したが、内容をもっと深堀しておいた方が良いと思うので、今回はそれに触れておく。
整腸作用という言葉から連想されるのは腸内細菌叢のバランスを整える。
俗っぽくいえば、善玉菌を増やして、悪玉菌を減らすということだろうか。
腸内細菌叢のバランスを整えるには食生活が大事とされ、脂肪分の摂取は控えめにという話はよく見聞きする。
腸内細菌叢のバランスを整えると何が良いのか?に関しては、腸管上皮細胞の糖鎖と腸内細菌叢の細菌たちまでの記事で触れたので、ここでは詳細は触れないことにする。
内容を簡略化するために腸内細菌叢で増えてほしい細菌をビフィズス菌とし、増えてほしくない菌をウェルシュ菌とする。
腸内細菌叢でビフィズス菌が増えれば、ビフィズス菌が分泌する酸により腸内環境のpHが下がり、ウェルシュ菌の増殖を抑える。
ここでイヌリンに話を戻すと、ビフィズス菌はイヌリンを資化(栄養に)するのが得意である細菌だとされ、イヌリンの摂取は腸内細菌叢におけるビフィズス菌の個体数を増やす働きがあるとされる。
ウェルシュ菌が癌の発生に大きく関与する細菌だと考えられているので、イヌリンは一種の抗癌作用があるといっても過言ではない。
イヌリンについてもう一つ興味深い内容があるので記載しておく。
柴田重信著 食べる時間でこんなに変わる時間栄養学入門 体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病 - ブルーバックスの内容を再び持ち出すと、イヌリンにはカルシウムの摂取に関与するという報告がある。
詳細は長くなるので簡潔にまとめると、イヌリンはカルシウムの吸収の仕組みを調整するところに直接作用してカルシウムの吸収を促すか、イヌリンの代謝産物がカルシウムと結合してカルシウムを運搬するという2つのメカニズムがあると考えられている。
人が吸収しやすいリンとしてのリン酸塩の記事で触れたが、pH調整剤を含む加工食品の頻繁な摂取でカルシウムの摂取が難しくなるので、イヌリンの作用は更に有り難い。
カルシウムは寝たきり老人の話題で頻繁に挙がり、寝たきり老人も社会保険の仕組みの圧迫に繋がるので、ゴボウの価値の向上で回避できるのであれば有り難い。
ゴボウの価値に一通り触れた後、再び冒頭のゴボウが栽培しにくい理由に話を戻す。
ゴボウの栽培は物理性が高い(耕盤層が深く排水性が良い)土でなければならないというのは、今までの知見を集めればなんとかなりそうだし、農機具の汎用性に関してはマーケティングの要素が強いので、ゴボウの市場価値が上がれば無視できる。
残りの連作障害だけれども、ゴボウは何故連作障害が起こりやすいのか?は把握しておく必要がありそうだ。
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