ミカンの甘味は核酸施肥で増強できるか?の記事で、カンキツの果実は核酸施肥で甘味が増すのか?を植物ホルモンのサイトカイニンを主軸として考えてみた。
サイトカイニンは根で合成される植物ホルモンなので、結果的には発根量に行き着くわけなのだけれども、それともう一つ知っておかなければならないことがあるので、今回はその話題に触れる。
今回の話題で真先に浮かんだのがナツミカンこと、ナツダイダイなので、ナツダイダイの写真を掲載しておく。
これを踏まえた上で、今回触れたい話題というのが、カンキツの果実が熟すということ。
カンキツの果実といえば、実が色づき始めた時は酸味が強くて食べれないが、色が鮮やかになるに従って甘味が目立ってくるようになる。
これは2パターン考えられる。
果実は最初は酸味の素のクエン酸を大量に蓄積させて、熟すに従って甘味のショ糖(スクロース)を蓄積する。
もう一つは果実はとにかくショ糖を蓄積するが、呼吸が活発なのでショ糖を解糖によりクエン酸にしてしまう。
この話題に関して、考えるべき点は2点で、
・植物はクエン酸という形で養分転流ができるのか?
・果実内にショ糖とクエン酸が十分量があった場合、クエン酸の方を優先的に代謝に用いるか?
になる。
この疑問に関して、直結はしていないが愛媛県庁/Q&A(品質編)のページに記載されている内容がヒントになるので引用すると、
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かんきつ類に含まれる糖類とクエン酸の含有量は収穫時をピークに、その後の果実の呼吸によりゆっくりと分解が進みいずれも減少していきます。その際、糖類に比べてクエン酸が早く分解される(以下略)
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と記載されていた。
カンキツの木は果実に対して、ショ糖の形で養分転流して、一部を貯蔵に当て、他を果実の成長に当てるとする。
果実の成長に当てたものは解糖系経てクエン酸付近の有機酸になり、クエン酸以降の代謝を抑えておく。
これで未熟時の果実の酸味の多さは理解できる。
果実の熟成や収穫後も果実自身の呼吸が続くが、クエン酸の消費が(ショ糖の分解による)生成よりも早い為、酸味が減り、甘味が目立ってくるようになる。
糖の構成でも甘味が変わってくるので、ショ糖がどのように変化していくのかも見ていくと、ミカンの美味しさの深い理解につながっていくかもしれない。
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成熟と追熟 - 大阪教育大学 - Laboratory of Food Sciences