植物系の方の今年一年の振り返りをしてみたい。
今年最大のトピックといえばなんと言っても、
大阪府高槻市の清水っ粉の製造と普及に取り組んでいる方が私の仮説を信じて行った物理性の改善 + レンゲ + 中干しなしの稲作のインパクトだった。
用水路が整備された田で中干しを行うことが慣習であった稲作において、昨年の栽培で中干しは不要だと当たりを付けての挑戦は予想を遥かに超える成果へと繋がった。
中干しを行わないという選択で水管理のコストが減り、常時水が入ってくることによって、水に含まれる肥料成分をより活用し減肥へと繋げ更なる経費削減へと繋がる。
常時田に水が入っていることでカエル等の稲作の害虫の天敵の個体数が増え、殺虫剤の使用をなくしつつ、除草作業がなくなるといった追加の効果もあった。
猛暑日に水が入っていることでイネを冷やす事が出来、高温障害を避け、病気の発症を抑える事も出来、殺菌剤の使用も無くすことができた。
中干しなしの田で誕生したカエルたちが隣の畑に移動していることも観測できて、周辺の栽培の秀品率や経費削減の可能性も見ることが出来た。
中干しなしの稲作を整理すると、作業時間を削減しつつ、肥料や農薬の経費を削減し、稲作による所得を上げる。
作業時間の削減により、一人あたりの管理面積を上げることが出来、更なる所得の向上に繋がる。
周辺環境の農薬の経費を削減して地域の農業所得も上げる。
猛暑日に水を張り続けることで、周辺の体感温度を下げ、エアコンの使用時の温度を下げる効果も期待でき、エネルギーの面でも地球環境に貢献できる。
生態系の多様性も増え、地域の観光資源の価値の向上にも繋がっていくはず。
日本全国で土作り未着手の乾田がほとんどなので、乾田の土作りの習慣が定着したらとても面白い事になりそうだ。
土作りで炭素率の高い植物性の資材を土に固定するので、二酸化炭素を埋没させ、温室効果ガスの削減に貢献する。
余談だけれども、
冒頭で挙げた清水っ粉という米粉の取り組みは米でパンを作ったり、麺を作ったりと製造業における出口の強化であるので、製造業の入口である稲作と出口が米粉といった一連の流れが既に出来ている点でも素晴らしい。
革新的な製造方法が確立されても、供給過多になってしまったら、普及はないからね。
関連記事