内在性レトロウィルスについてを知るの記事で、内在性レトロウィルスについて触れた。
レトロウィルスに分類されるウィルスは宿主細胞に感染した後、色々と端折るけれども自身のDNAを宿主のDNAに入り込む。
この機構により、高校生物の頃からずっと疑問になっていた事の一つがクリアになった。
それは動物の生殖において、子が親とは全く異なる形質を持っている事だ。
動物の生殖細胞である卵子と精子は元となる卵母細胞と精源細胞は産まれた直後から保護されており、成長後に獲得した形質はこれらの細胞に反映されない。といったニュアンスだった。
だけれども、哺乳類の動物はウィルスのタンパクを重要な局面で利用している。
哺乳類は爬虫類や魚類等の共通祖先よりも前にウィルスに感染していて、より複雑な他細胞化していったという仮説もあるだろうけれども、もう一つの説で、レトロウィルスが宿主の生殖細胞に感染すると、その生殖細胞由来の卵子や精子から発生した個体の体細胞にはウィルスの遺伝子が組み込まれている事になる。
これであれば、親のDNAがどんなに変異を起こしても発生しそうにない形質を子が得ていることもあり得るわけだ。
今回のような内容を読むとレトロウィルスを天然のナノマシンとして遺伝子治療に用いたい気持ちがよくわかる。
mRNAワクチンの技術の凄さに感動したの記事で記載した通り、逆転写酵素と制限酵素、前の記事では触れなかったけれども、PCR関連の酵素と機械があれば、レトロウィルスのRNA?を切った貼ったするのは難しくないから。