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肥料学や土壌学の中で最も見ておくべき内容は同型置換だろう。


同型置換というのは、


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※図:粘土鉱物の構造と化学 - 化学と教育 68 巻 9 号(2020 年)356ページより引用


粘土鉱物の結晶構造に含まれる四面体シートのうち、


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Si四面体のSi(ケイ素)が


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Alに置き換わることを指す。

Si4+が抜け、Al3+が入ることで、正の電荷が一つ抜けることになり、四面体全体が負の電荷となる。


これはよくよく見てみると、上の結晶構造の図でいうところの四面体シートとMn+の箇所の負の電荷が増えていることになり、これはCEC(保肥力)の増大に繋がる。

保肥力とは?

同型置換で粘土鉱物の持つ保肥力を高める


この時、Alは何処から来て、はじき出されたSiはどうなってしまうのだろう?という疑問が生じる。

粘土鉱物の結晶構造を見てきたので、もう少し深堀してみようと思う。




同型置換に関して、わかりやすい文章を見つけたので記載する。

日本粘土学会の粘土鉱物Q&Aで同型置換のことを質問している方がいて、その返答をピックアップすると、

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「ケイ素四面体のケイ素原子がアルミニウム原子と置換する」というのは、層状ケイ酸塩粘土鉱物の場合、結晶構造を保ったまま置換するのではなく、結晶が壊れて新たに同じ構造の結晶が作られたときに置換するということです。

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つまりは


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のような現象は生じておらず、


127px-Tetrahedron_1


が壊れて、代わりにAl四面体が配置しているということになる。


壊れたSi四面体はおそらくSi(OH)4として周囲の水に溶けるはず。

後は同型置換が発生しやすくなる条件はpHや温度なのかな?