菌根菌は木炭の施用で活性化するまでの記事で、サツマイモの大産地で大流行している基腐病に対して、基肥で牛糞を使わず、土壌消毒にも頼らない方が良いのでは?という傾向が見えてきた。

土壌消毒の代わりに木炭を利用して、病原性の菌を減らし、共生菌を増やして耐性を強める。


土壌消毒ができない以上、畑全体を緑肥にするか?作物が植わっているところの一部、例えば通路を広めにとって通路に背丈の低い緑肥を育てるといった事が必要になってくる。


であれば、何の緑肥が良いのだろうか?




サツマイモの大産地の土質を思い浮かべてみると、



黒ボク土であるということだ。

黒ボク土は活性アルミナの作用によって、無機リン酸が効きにくいという特徴がある。

黒ボク土の活性アルミナ対策としてのリン酸施肥


牛糞で土作りをした時の弊害をまとめてみると


栽培履歴を見ると、基肥に牛糞を使っていたとすると、有機態リン酸が相当の量、残留している可能性が高い。

鶏糞の中にある有用だけど厄介な有機態リン酸


土壌中の糸状菌が植物に対して病原菌となるか共生菌となるか?は施肥次第の記事から病原性の菌が活発になるのは、土壌のリン酸の量に因るものなので、残留しているリン酸をどうにかするところから始めたい。


吸収が難しいリン酸を吸収しやすい形にして、作物に吸収させ、収穫の時に畑からリン酸を持ち出す。

緑肥はリン酸を吸収したとしても、土の形成を優先させたいので緑肥の持ち出しは行わない。

土が形成されれば、作物の発根が促進し、リン酸の吸収量が増え、収穫の時のリン酸の持ち出しの量が増える。


これを繰り返せば、病原性の菌の活性は相当抑えられるようになるはず。




緑肥とリン酸についてを検索してみたところ、唐澤敏彦 緑肥の導入などによる有用微生物の 増殖とリン酸施肥の削減 牧草と園芸 第62巻第 3 号(2014年)に辿り着いた。

上記の内容でリン酸を、

・作物が吸収できるリン酸として、無機態リン酸と可溶性リン酸

・作物が吸収できないリン酸として、有機態リン酸と難溶性リン酸

に分類し、


作物が吸収できないリン酸を吸収できるようにするために、VA菌根菌、ホスファターゼ生産菌とリン溶解菌を挙げている。

VA菌根菌は今まで見てきたので、今回は触れない事にする。


ホスファターゼ生産菌は有機態リン酸を無機化する菌の事を指し、鶏糞の中にある有用だけど厄介な有機態リン酸の記事で触れた。

この菌が増える条件は乾物鋤き込み量が多い緑肥を育て鋤き込む時で、



イネ科のソルガムや



キク科のヒマワリ等が思い浮かぶ。




難溶性リン酸には、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸鉄等が挙げられ、リン溶解菌によって、可溶性リン酸に変える。

※上記で紹介した読み物では、難溶性から可溶性への話題はリン酸カルシウムのみ触れていて、一番知りたいリン酸アルミニウムについては記載されていない。

http://gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/data/h14data/118136/118136a.pdfに依ると、リン酸アルミニウムから可溶性リン酸にする菌が単離されている


リン溶解菌が増える緑肥として、ソルガムやヒマワリを挙げていた。




ソルガムとヒマワリが緑肥として優秀なのはわかったけれども、どちらも背丈の高い緑肥でサツマイモの栽培と一緒に育てることはできない。


機能は劣るけれども、



収穫後のエンバクか、


マルチムギが劣化土壌に果敢に挑む


背丈の低いマルチムギあたりになるのかなと。


どの緑肥の栽培にも言えることだけれども、土壌中のリン酸の量が許容範囲になるまで、土壌消毒は絶対に行ってはいけない。

土壌消毒後に一番最初に増えるのは、ほぼ確実で地域に定着した病原性の菌だから。