毎年夏になると、中干しをするかどうかの話題が挙がる。
この時期の高温障害が尾を引くと考えると中干しを無しにするのが良いのだけれども、そうするとメタンの話題が付いてくる。
水田からメタン発生を気にして乾田にすることは良い手なのだろうか?
そんなメタンだけれども、
Ben Mills - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによるを一部改変
炭素に電子を四個加えてHで蓋をしている構造で、この電子を欲する生物は多いのではないか?と思い、水田のメタン生成に関して見落としているものがありそうで、取り急ぎエッセンシャル土壌微生物学 作物生産のための基礎 - 講談社を引っ張り出してきた。
水田土壌をざっくりと書くと
な感じで、土壌で水に接している表層2cm程の層を酸化層とし、酸化層の下を還元層とする。
メタンは還元層にいるメタン生成菌が有機物を利用して、炭素を還元(電子を与える)する事によって生成される。
一方、酸化層にはメタン酸化菌という細菌がいて、メタンをエネルギー源にし、
CH4 + 3O2 → CO2 + 2H2O
でメタンを酸化してエネルギーを取り出しつつ、二酸化酸素と水に変える。
酸化層があることによって、水田で発生したメタンガスのほとんどは大気中に放出される前に回収される。
では、水田でのメタンの放出は何処から行われているのか?というと、
メタンはイネの根から通気組織を介して大気中に放出される。
この経路が水田から大気中にメタンが放出される90%以上を占めるそうだ。
この内容に関して、思うことがあるのだけれども、それは話が長くなるので次回にする。
-続く-
余談だけれども、メタンがイネの根に取り込まれる事で発根が抑制するという話題があり、この現象を回避する為に中干しを行う必要があるという説もある。