土壌消毒について見直す時期ではないだろうか?の記事で、タイトル通り土壌消毒について見直すべきだと思っている旨を記載した。
土壌消毒という名前により、土壌中の病原性の微生物等を消毒できるという思い込みが発生するが、実は消毒できない個所があって、そこに病原性の微生物等が潜伏する。
普段行われている土壌消毒のことをより深く知ることで、どこまで土壌消毒に依存するか?の判断が出来るようになるので、今回は土壌消毒について触れてみる。
薬剤による土壌消毒で頻繁に見聞きするものとして、成分名がクロルピクリン(またはクロロピクリン)とダゾメットがある。
クロルピクリンは酸化作用のある漂白剤をイメージしてもらえば良く、強烈な殺菌作用があるので土壌消毒でも強烈な作用だと見ていい。
強烈な作用と記載したけれども、耕土の深いところまで土壌消毒を行うことが出来ず、病原性の微生物は潜伏してしまう。
という報告がある。
各種土壌消毒法による青枯病菌密度抑制効果の事例解析 - 農研機構機関リポジトリ
もう一つのダゾメットの方がクロルピクリンよりよく見聞きし、おそらくこちらの把握の重要なのではないかと捉えている。
ダゾメット Ⅰ.評価対象農薬の概要 - 環境省によると、ダゾメットの作用機構は土壌中で速やかに分解され、
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Rの個所がメチル化、もしくはメチル化された何かが付与したメチルイソチオシアネート(MITC)になる。
※メチル化はメチル基(-CH3)が付与される反応
MITCが土壌中の微生物等と接触するとそれらのSH基を阻害する。
実際にはSH基同士が結合するジスルフィド結合に作用して酸化的に開裂する。
川岸舜朗 グルコシノレートーその酵素分解および分解物の反応性と毒性 - 日本食品工 業学会誌 第32巻 第11号(1985)
他にSH酵素を阻害するという作用もあるらしい。
要約すると、生物が生きる上で大事な酵素が合成できなかったり、酵素が出来たとしてもその酵素が動かないようにするのが、MITCの作用となる。
メチルイソチオシアネート(MITC)だけれども、イソチオシアネート(ITC)は主にアブラナ科植物において、食害された際の防御物質として合成される。
その話題の一貫として、植物にジャスモン酸を施用するとITCの合成は活発になるという報告がある。
ITCは殺菌に限らず、殺虫作用もあるので、土壌消毒でダゾメットを使用する際は殺虫作用も期待するだろう。
ここで一つチョウ目(旧:鱗翅目)の問題が頭に浮かんだ。
今回の記事は長くなったので、頭に浮かんだ問題は次回に触れることにしよう。
-続く-
追記
緑肥カラシナを丁寧に育てた後に鋤き込むと、葉にある揮発性のITCが土壌に充満するので、ダゾメットのような作用になるのでは?
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