脂肪動員の記事で中性脂肪からATPの産生の過程を見た。
この内容を踏まえた上で、ケトン体について触れる事にしよう。
巷では糖質制限ダイエットというものがあり、食事中に糖質(炭水化物)を控えると体に蓄積された中性脂肪が使われるようになり痩せるというものだ。
この話題で注意すべき点は脳の栄養であるブドウ糖の量が減り、それを何らかの形で賄う必要があるということだ。
脂肪酸にはいくらカロリーが蓄えられているとはいえ、脳関門を通過出来ない為、脂肪酸を脳のエネルギー源として使う事が出来ない。
ここで話題に挙がるのがケトン体で、これは激しい運動や糖質制限により血糖値が下がった時に脂肪酸からケトン体が産生される。
ブドウ糖が少なくなると、大量のATPを産生するクエン酸回路が動かなくなり、脂肪酸から産生された余剰のアセチルCoAがケトン体の産生に回るそうだ。
ケトン体は脳関門を通過して脳のエネルギー源として利用できる。
ケトン体とは一体何なのか?
それを今回は見ていくことにする。
ケトン体とは脂肪酸の代謝で産生されたアセチルCoAに炭素数2個の炭素鎖が付与(アセトアセチルCoA)され還元、脱炭酸を経て産生された物質の総称の事で、
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アセト酢酸、
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3-ヒドロキシ酪酸と
NEUROtiker - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
アセトンがある。
前者2つのケトン体がカロリー源として利用され、アセトンは呼気により排出される。
一度体に蓄積された脂肪はなかなか落ちないというイメージがある中、糖質制限の食事によるケトン体の話題はとても魅力的に見えるが、注意すべき点がある。
それは血中のケトン体の増加により、血液のpHが酸性(酸血症)になるということだ。
似たような話題を悪阻や無酸素性運動で見た。
ケトン体量が増加し血中pHが下がると疲労を感じるようになり、良質なエネルギー源であるブドウ糖が少ない状態であるため、一日の生産性は大きく下がる事は自明なので、ケトン体に頼った生活はするべきではないのだろうなと。