酸アミド系殺菌剤ペンチオピラドを含め、殺菌剤の開発者と使用者の話を見聞きしていると話題に挙がりやすいのが、せっかく効きの良い殺菌剤が販売されたのに、病原菌が耐性を獲得して効かなくなった。
耐性菌に対して新たな殺菌剤が開発され市販されても、また新たな耐性菌が現れ効かなくなったというもの。
これを聞いて思ったのだけれども、効きの良い殺菌剤が市販される→みんな使い始める→過剰に使う(乱用する)人が現れる
地域のとあるほ場で耐性菌が現れる
※過剰な選択圧は耐性獲得の突然変異を誘発する
風等で耐性菌が他の畑に広まる→適正量の農薬を使用しても感染が止まらない
※耐性菌以外は死滅、もしくは弱体化している
こんなフローが頭に浮かび、ふと思ったことがあるのだけれども、地域で各々の畑が農薬の使用の使い分けをしたり、使用を隔年にして次の年は別の殺菌剤を使用するといった一斉使用や連用を避けた場合、今のような開発と耐性菌の誕生のイタチごっこは発生するのだろうか?
栽培者から営農指導や栽培防除暦という名の元に考えることを奪った仕組みこそが最大の問題のような気がする。
大工や工芸の職人、民間の製造業に外部から一から十まで製造の指導に入るなんてことはないだろう。
農薬は高度な化学の結晶で、他産業の医療であれば販売者や処方箋を出す人にも超高度な資格の取得を有している。
何故、どの農薬もこんなに簡単に購入や使用することができるのだろうか?
耐性菌は万能ではなく、微生物は使用しなくなった耐性を捨てることもあるので、相当前に耐性の問題で使用されなくなった農薬が案外効くということもあるはず。
この話をイメージするためにプラスミドと遺伝子の水平伝播の事を理解しておきたい。