前回の農薬を使う必要がない野菜こそが美味しいはずの記事で、植物が食害昆虫や病原性微生物への耐性向上の為に貯め込む香り化合物(二糖配糖体)は、作物の品質において食味や香味を向上させる可能性が高いとされる。
以前、植物の香気物質と健康の記事で、ゴボウの香気成分と健康について触れたが、今回話題の青葉アルコール等も健康で何か話題がないか?検索してみたら、倉恒弘彦著 みえてきた慢性疲労のメカニズムとその対処法 - 日本未病システム学会雑誌12(1):22-24,2006の中で疲労に伴う機能低下の改善等で青葉アルコールが挙がっていた。
慢性疲労症候群は激しい疲労が続く病状で、免疫や神経機能の異常が見られる。
※免疫異常では、サイトカインの異常が見られる
ウィルスによる感染症に対して我々は正しく恐れる程の知見があるか?
過度にストレスを与え疲労モデル動物に青葉アルコールを嗅がせたところ、上記の異常が緩和されたそうだ。
上記の内容を踏まえて、人が食物から香りを感じている仕組みを思い返してみよう。
tomorrowさんによるイラストACからのイラストを一部改変
野菜を咀嚼した際、香り化合物は口から繋がる鼻腔を上昇して香りを認識する。
今まで触れてきた香り化合物は物理的損傷を受けた際に、付与していた糖が外れて揮発するという仕組みであったため、上記の仕組みであれば野菜からふんだんに香り化合物を得ることができる。
となると、香り化合物を多く含む野菜はどんな野菜か?といえば、
昆虫による食害を受けにくく、病気にもなりにくい作物という事になるため、栽培において農薬防除を必要としていない野菜という事になる。
無農薬栽培であっても、定期的に虫とりをしていたり、不織布防除を常に要する必要があったり、食感が悪いものであれば意味がない。
おそらく昨今の某ウィルス騒動以降、別のウィルスによる流行発生の際にも敏感になっているはずで、今後似たような騒動が定期的に発生する可能性が高い。
そんな中でできる事は野菜の質を上げることで、香り化合物に注目して品質の向上を行う必要があるはずだ。
今こそ香り化合物の機能を高めるであろう草生栽培の可能性を信じる時なのかもしれない。
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