

鶏糞の処理で消臭剤として鉄の散布は有効か?の記事で、鶏糞の悪臭発生に対して鉄粉を施した時に、悪臭の要因であるアンモニア臭を減らすことは出来るか?という疑問に対して、アンモニア臭を減らすことは難しいという内容を記載した。
であれば、鶏糞の処理中に脱臭剤として鉄粉を利用するのは無駄なのか?と思いたくなるが、この判断は早い。
何故ならば、悪臭は1種類ではないからだ。
というわけで、他の悪臭もピックアップしてみて、鉄粉との反応を考えてみたい。
鶏糞に限らず家畜糞の処理で厄介な悪臭として硫化水素(H2S)がある。
硫化水素は周辺の金属を腐食してしまう為、家畜糞の処理場では鉄骨を利用することができないという話を聞いたことがある。
硫化水素は鉄との反応性が高く、酸化鉄汚泥と反応させることで消臭効果が期待出来る。
廃棄物埋立処分場で用いる硫化水素抑制材 - 山口県産業技術センター
酸化鉄汚泥に施された処理によって酸化鉄の構成は変わるが、汚泥の処理中で撹拌処理が少なければ、酸化鉄(Ⅱ)(FeO)が多いはずで、今回は酸化鉄(Ⅱ)で話を進める。
酸化鉄(Ⅱ)と硫化水素の反応は下記の通り。
H2S + FeO → FeS + H2O
FeSは硫化鉄(Ⅱ)になり、無臭の個体となる。
硫化鉄(Ⅱ)に関して、一点注意が必要で、粉末の硫化鉄(II)は自然発火性物質であることだ。
家畜糞の処理というのは色々と気にすることが多くて難しいのだなと改めて痛感する。
追記
硫化水素に酸化鉄(Ⅲ)を加えても、還元等の反応を経て、硫化鉄(Ⅱ)になる可能性が高い。
※硫化水素が還元剤として機能する可能性があるため。
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