エメンタールチーズを購入して食した。
エメンタールチーズというのは上の写真のような穴あきチーズだ。
アメリカのアニメでよく見かけるあのチーズだ。
チーズの穴をチーズアイと呼び、
今まで見てきたチーズにはチーズアイはない。
ということは、
このチーズアイにも人類の英知が詰まっている。
いや、
人類の英知が詰まりすぎて破裂して穴が出来たと表現すべきか。
どちらにしろ、
このチーズアイから得られる事は多いはずだ。
と書いたけれども、
既にビタミンB12を合成する細菌を求めての記事で触れている。
チーズを熟成させる際に植え付けた微生物の活動によって、
乳酸から酢酸と炭酸ガスが発生し、炭酸ガスによって穴があくとされている。
早速いつもの本を取り出してみる。
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エメンタールを製造する際に、乳酸菌と共にプロピオン酸菌を乳に添加する。エメンタールでは、熟成初期に20〜23℃の熟成庫で数週間熟成させると、プロピオン酸菌がチーズ中の乳酸塩を分解して、プロピオン酸、酢酸、炭酸ガズ、水を生成する。プロピオン酸と酢酸はエメンタール特有の風味となり、炭酸ガスはチーズアイと呼ばれる直径12〜25mmの丸い穴となる。チーズの塩分が高いとプロピオン酸菌の生育が抑制され、チーズアイができにくくなる。
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※「チーズを科学する」(幸書房) - NPO法人チーズプロフェッショナル協会 72ページより抜粋
プロピオン酸と酢酸が風味となると記載されていたが、
過去記事からプロピオン酸の記事を引っ張ってくると、
臭いは固めて溶かして流してしまえの記事で、
プロピオン酸は臭気が高いものとして扱われていた。
プロピオン酸菌が塩分によって生育が抑制されるということを合わせると、
チーズ内の塩分濃度によって風味であるか臭気であるかを調整することが出来るのだろう。
他に興味深い内容として、
干し草を与えた牛から得られた乳を用いるとチーズアイが増える傾向があるらしい。
干し草粉末微粒子がチーズ乳でアイの核として作用し、チーズ熟成中のアイの形成を可能にする毛細管構造が、葉または茎の植物内組織内に存在することが明らかにされている。
※「チーズを科学する」(幸書房) - NPO法人チーズプロフェッショナル協会 39ページより抜粋
これは詰まるところ、
干し草粉末微粒子にある毛細管構造内にプロピオン酸菌が居着いて、
そこで積極的に炭酸ガスを生成した。
という解釈で良いだろうか?
となると、
このノウハウは米ぬかボカシ肥の熟成の際にも活用できそうだ。