幻の黄色いアサガオという話がある。
テレビのニュースでこの話題を見た人もいるかもしれない。
伝統的な育種(遺伝子組み換えなし)で交配されたものに淡黄という花弁の色(写真はない)がある。
株式会社誠文堂新光社の朝顔百科の204ページに黄色い花のアサガオが一度だけ咲いたというコラムがある。
古典園芸としてのアサガオの記録にも黄色いアサガオの記述があるらしい。
黄色いアサガオがなぜ幻なのか?を紐解いてみたい。
アサガオはアントシアニジンという赤から青までの範囲で色付く色素だ。
アントシアニジンは広義の意味でのフラボノイドとして扱われいるらしい。
広義があれば狭義もある。
ということで再びフラボノイドの語源を調べると、フラボンはラテン語で黄色という意味がある。
ここからフラボノイドは黄色い化合物という意味となる。
思い返してみると、
ミヤコグサの黄色い方の色素は
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ケルセチン(クエルセチン)と呼ばれるフラボノイドだ。
同じフラボノイドであれば、アサガオに黄色があっても良いはずだけれども、なぜないのだろうか?
黄色い色素であるケルセチンの合成について見ることにする。
アジサイの花弁の色を理解する為にフラボノイドを見るの記事でフェニルアラニンから
淡い黄色のフラバノンの合成までを見た。
アサガオの色素はフラバノンからジヒドロフラボノールから
Pelargonidin.png: Edgar181derivative work: Shakiestone - このファイルの派生元: Pelargonidin.png: , パブリック・ドメイン, リンクによる
アントシアニジンの一種であるペラルゴニジンになり、水酸基等の付与が続いて青みが増す。
ケルセチンはフラバノン→ジヒドロフラボノールからアントシアニジンの経路と分岐して、
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ケンフェロール
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ケルセチンへと合成される。
このケルセチンに糖が結合された配糖体になって安定という話があるけど、とりあえずここまでにしておく。
このケルセチンを含むフラボノールは色でいうと無色〜淡黄であるらしく、
ミヤコグサがケルセチンでもこんなに鮮やかなのは、ケルセチン + カロテノイドの珍しい花であるからなのかなと。
もしくはもっと黄色いフラボノイドを蓄積しているのかなと考えられることは多い。
羊土社 基礎から学ぶ植物代謝生化学の54ページのフラボノールの説明を読むと、アントシアニンと共存すると青味が増すコピグメント(補助色素)として働くと記載していた。
アサガオの鮮やかな青はアントシアニジン + フラボノールなのかなと想像が弾む。
そうすれば、アントシアニジンだけが外れた変異があれば、アサガオの花弁は淡黄になる。
更にフラボノールの合成量が増えれば、淡黄の色が濃くなる。