クリ属のドングリを他の属のドングリと比較してみるの記事で、一つの殻斗に対してクリ(堅果)が3個入っていた。
たまたまかもしれないけれども、コナラの落葉から落葉性を考えるの記事で載せたコナラのドングリは一つの殻斗に対して一つの堅果が3個でひとかたまりになっていた。
ドングリが熟すの記事で(おそらく)シラカシのドングリが一つの殻斗に対して一つの堅果が4個でひとかたまりになっていた。
ここでふと思う事が、ブナ科の長い進化において、一つの殻斗に対して複数の堅果のものが一つの殻斗に対して一つの堅果へ変わっていったか、もしくはその逆があったのかな?と想像する。
現在のブナ科の研究ではどのような系統樹になっているか?が気になった。
ちょうど良いタイミングで名古屋大学出版会から広木詔三著 森林の系統生態学 -ブナ科を中心にという本が出版されていたので購入して読み始めた。
新しいこともあって、
京都大学学術出版会から出版されている原 正利著 どんぐりの生物学 ブナ科植物の多様性と適応戦略に記載されているブナ科の分類よりも更に新しいものが記載されていた。
※コナラ属アカガシ亜属周りの扱いについてが更新されている
この本のブナ科の系統の箇所を参考にすると、
※図:原 正利著 どんぐりの生物学 ブナ科植物の多様性と適応戦略 名古屋大学出版会 44ページを参考にして作成
※コナラ亜属とアカガシ節の上にコナラ属があるがこの図では省略する
上記にようになっている。
太い文字で記載されている属や節は日本で見られるもので、
クリのような大きな殻斗に複数の堅果から、
シイ属のように大きな殻斗に対して一つの堅果を経て、
※どうやらシイ属の中には一つの殻斗に対して複数の堅果の種もあるらしい
コナラのように小さな殻斗に対して一つの堅果になり、
その中で一つの殻斗に対して大きな一つの堅果の種も現れたと考えられている。
この話の中で、
マテバシイ属の存在(殻斗と堅果の形状)というものが不思議に思えてきて、更に解析技術が進むことで、このマテバシイが波乱を巻き起こすのだろうなと期待している。
※堅果内のタンニンの量に着目すると現在の系統樹の並び順はしっくりくる。
ブナ科の系統樹の一番下に位置しているブナ属がどういうものか?
ブナ属の木の場所に行きたい欲というものが日に日に強くなっていく。
関連記事