前回に引き続き、名古屋大学出版会から出版されている広木詔三著 森林の系統生態学 -ブナ科を中心にの話。

この本はページ数が多くて読み始めるのを躊躇するけれども、わかりやすいのでサクサク進む。

ブナ科の各種のドングリの形状と葉の形が頭に入っていると更に読みやすい。


という本の感想はここまでにしておいて、種子と果実の大きさが意味するものというテーマが興味深い。

広義の意味でのドングリで話を進めると、


丸いドングリといってもクヌギとは限らない


大きなドングリといえば、アベマキ、クヌギやクリが思い付く。

俗にいう里山や雑木林に自生しているブナ科の木というイメージがある。


若山神社のシイ林


小さなドングリといえば、ツブラジイの堅果が真っ先に浮かぶ。

ツブラジイといえば、極相に達した森林の主を構成する樹木で、芽生えの時点では光があまり差し込まない場所で自生しているイメージがある。


コナラの落葉から落葉性を考える


ドングリが熟す


アベマキ等とツブラジイの中間でコナラやカシのドングリがある。


ドングリの大きさに対して、冒頭の本では堅果が大きければ大きい程、耐陰性が低く、耐乾性は高くなる。

逆に堅果が小さいほど、耐陰性が高く、耐乾性は低くなる。


上記の内容を森の断面図に合わせて見ると、



こんな感じの分布のイメージになるのかなと。

図の右の林縁といえば、



林縁のアザミたちは花を林の外に向けるの記事で触れたエッジ効果の箇所に当たり、光量は多いが(森の奥と比較して)乾燥しやすい。



大きなドングリは種子の子葉に溜め込んだ養分を用い、いち早く根を伸ばし、地中深いところの地下水に到達することで乾燥に強くなっているのでは?という仮説が挙げられていた。

この話が正しければ、アベマキ等よりも耐陰性が高いカシでは、林縁よりも森側になるので林縁よりも湿度が高くなるので、アベマキ程、発芽時に根の伸長に注力を注ぐ必要がない。



林縁の光が強い場所のブナ科の木は、光量を活かす為に葉は薄く広く展開する代わりに、薄くなるが故に寒さに弱くなるので落葉性になる。

コナラの落葉から落葉性を考える


森の端に落葉性の木が分布することで、冬に落葉を落とし(リターフォール)、土壌を形成する。

森の端にいたアベマキらは、森の端の更に先にタネを落とし発芽する。

アベマキのいた箇所にはカシが自生し、そのカシを追うようにシイが現れる。


こうやって森は広がっていくのだろう。


関連記事

荒れ地に生えるパイオニアのハギ