前回の持ち帰ったドングリから昆虫の幼虫が出てきたよの記事で、持ち帰ったドングリの表面に穴が空いて、中から昆虫の幼虫が出てきた事を記載した。
それに合わせて、
ドングリの殻斗とは何だろう?という話をした。
ブナ科の共通祖先の殻斗の形に近いと考えられているブナの殻斗を見ると、殻斗が外敵から堅果を守っているのは一目瞭然だろう。
比較的古くから生存しているシイ属のツブラジイの殻斗を見ても、ブナ同様に外敵から堅果を守っているのは一目瞭然だろう。
これらの堅果をカシの堅果と並べてみると、
※左からブナ、ツブラジイ、ツクバネガシ
堅果を包む形の殻斗の種類は堅果が小さい。
ここからコナラ属は堅果を大きくする方に進化したけれども、それに合わせて殻斗は大きくしていないと見ることが出来る。
堅果を大きくする事の利点は乾燥耐性を強くして、林縁から更に林の外側へと生育環境の条件を広げる事が出来る。
おそらく進化の過程において、殻斗を大きくしたものもいるはずだ。
というわけで、堅果を大きくしつつ、殻斗も大きくしたブナ科の木を思い浮かべると、
クリが思い浮かぶ。
クリは果樹園芸作物であるので、クリの栽培について触れてみると、クリは殻斗が大きいので昆虫らに対して無敵か?といえばそうではなくて、臭化メチル剤の全廃に伴うクリシギゾウムシの代替防除技術について - 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門の報告にあるように、シギゾウムシの被害を受けている。
世界のどんぐり図鑑(徳永桂子著 原正利解説) - 平凡社でコナラ属と比較してクリ属の種類が少ないことから、コナラ属の選んだ殻斗が小さくするという選択の方が優位である可能性が高い。
であると、狭義の意味でのドングリ(コナラ属)の殻斗は何の為にあるのだ?
コナラ属ではないけれども、わかりやすいでマテバシイ属の殻斗を見て、
殻斗は堅果形成初期に雌しべ付近を守るだけか、それとも役割を失った器官なのか?
後は堅果の方にタンニンを含ませ自己防衛するようにしたのか?