前の記事で書きましたが、(無機肥料は、植物にどう吸収される?)無機肥料は水に溶けることで養分が吸収されるということでしたね。
ということは、水に溶けやすい方が養分が吸収されやすいということになります。
水への溶けやすさは、根(こん)の部分の酸の強さで決まります。
酸の強さは、酸解離定数pKaを調べればわかります。
(Wikipediaで各酸のページを開くと、記載されています。)
例えば、硫酸の酸解離定数は‐3、硝酸は‐1.4、クエン酸は3、炭酸は6です。
数字が小さいほど強い酸を表します。
なので、酸の強さは、
硫酸>硝酸>クエン酸>炭酸
の順になります。
酸が強いほど水に溶けやすいです。
上でいくと、クエン酸くらいまでは水に溶けやすいです。
例えば、硫酸アンモニウムと硝酸アンモニウムを比較すると、硫酸アンモニウムの方が水に溶けやすく、早く養分が吸収されやすいということになります。
ただし、吸収させたい養分がCa2+やMg2+などの2価の陽イオンの場合、陽イオンと陰イオンのつながりという構造の部分が水への溶けやすさに影響してきます。
例えば、硫酸カルシウムと硝酸カルシウムを比較すると、酸の強さは硫酸の方が強いですが、構造状では硫酸カルシウムの方が結合が強いので、硝酸カルシウムの方が水に溶けやすいということになります。
同じことが、硫酸マグネシウムと硝酸マグネシウムにも言えます。
それでは、溶けにくい炭酸カルシウムなどは、どうやって根に吸収させたらよいのでしょうか?
卵の殻やカキガラなどに炭酸カルシウムは含まれています。
よくカキガラ肥料が有機石灰として販売されていますが、これは畑に播いても意味がないのか?
答えは、NOです。
実は、無機肥料には、水溶性とく溶性があります。
水溶性とは、名前の通り水にとけやすいという意味で、硫酸塩や硝酸塩、クエン酸塩が含まれます。
そして炭酸塩やリン酸塩がく溶性となります。
これは、水に溶けにくいのですが、2%のクエン酸溶液に溶けて、肥効を発揮します。
溶ける場合は、クエン酸ではなく、根から放出される他の有機酸でもよいです。
カキガラ石灰などは、根から放出される酸によって徐々に溶けて、作物に吸収されるということになります。
なので、ゆっくりと石灰肥料を効かせたい時に、カキガラ石灰を使うのですね。