花粉症でしんどいの記事で、花粉症の背景について整理した。
今回は花粉症そのものを見ていくことにする。
前回の記事で篠原健司 花粉症研究最前線 スギ花粉症克服に向けた総合研究 - 森林科学 73 2015,2の内容を引用したが、ここに花粉症の発症の仕組みについて記載されていた。
花粉等のアレルゲンに触れると、体内にあるマクロファージが取り込み、T細胞が活性化して、B細胞がIgEの産生を行い、IgEが肥満細胞に働きかけ、ヒスタミン等を遊離しアレルギーの発症となる。
文章で一気に書いたが、要約すると体内に花粉が入ると、肥満細胞と呼ばれる細胞がアレルギー反応を引き起こす物質を放出するという事になる。
他の各用語に関しては、内容について触れた記事のリンクを掲載しておく。
※IgEは抗体の一種でアレルギー反応の中心的な役割を持つ
残りの肥満細胞(マスト細胞)について見ていくことにする。
先に余談だけれども、花粉症に関して、脂っこいもの(特にトランス脂肪酸)を食べるとアレルギー反応が悪化しやすいという記述を見かける。
もしかして、脂っこいものが肥満細胞に何らかの働きかけをしてしまうからか?と連想してしまうけれども、肥満細胞という用語と一般的な肥満というイメージとは別のものであり、脂っこい食べ物が直接的に肥満細胞に作用するということはおそらくない。
肥満細胞の肥満という言葉は、細胞が膨れた様が肥満を連想させるから付けられたそうだ。
内容が冒頭の話と重複するが、
パブリック・ドメイン, リンク
肥満細胞はIgEを認識することで、ヒスタミンを放出する。
そのヒスタミンが各組織にある受容体に触れると、各組織で血圧降下や血液拡張といった事が起こり、血や免疫に関与する物質が集中して留まりやすくなり炎症反応を引き起こす。
ちなみに抗ヒスタミン薬の作用機構は各組織のヒスタミン受容体をブロックすることでその後の炎症反応を引き起こさないようにする。
ただ、今回の話題のヒスタミンはホルモンとしての働きだったけれども、脳の方で神経伝達物質としての働きもあり、抗ヒスタミン薬は神経伝達物質の方にも作用するものがある。
疲労感を緩和する機能性食品でヒスチジン配合を謳っていた
神経伝達物質のしてのヒスタミンは覚醒状態の維持に関与していたため、その働きをブロックしたらどうなるのか?は容易に予想ができる。
抗ヒスタミン薬以外で花粉症を緩和する為にはIgEの産生を抑えるか、肥満細胞の働きを弱めるかのどちらかができそうだ。
ちなみにIgEの産生の方は乳酸菌(特に植物性の乳酸菌)による発酵食品や飲料の摂取によってアレルギー反応が緩和されるという話題がある。