好きな石を一つ挙げる。
地質学の専門でもないのに、こんな話題が時々挙がる。
その背景には肥料は様々な鉱物を粉砕したり、化学的な処理を加えて製造されることがあるからだ。
そんな背景の中、好きな石を一つ挙げるとするならば、
粘土鉱物の中に入っている緑の石の緑泥石(クロライド)だろう。
緑泥石は2:1:1型粘土鉱物に分類される粘土鉱物で、栽培で使用すると優れた機能を有すると説明が加えられていることが多い。
緑泥石は
グリーンタフを形成する緑色凝灰岩や
中央構造線でよく見られる緑色片岩等の岩の主の鉱物となっている。
緑泥石の化学組成は複雑なので端折るが、
※上の図の右がモンモリロナイトの概要
高いCECを誇る2:1型粘土鉱物のモンモリロナイトのような粘土鉱物の層間水の箇所に、
※上の図は緑泥石の概要
Mg(マグネシウム)八面体や鉄を含む層が入り込んだ形の粘土鉱物になっている。
モンモリロナイトの方の層間水のところがCEC(保肥力)にスコアに関与する箇所になっていて、層間水の箇所を持つモンモリロナイトのCECが 60〜100 に対して、層間水の箇所がMg八面体等でふさがっている緑泥石のCECが 2〜10 になっているので、一見、緑泥石の肥料としての性能が低いように見えるが、
緑泥石 → モンモリロナイト + Mg(or Fe)
のような反応があり、Mg剤やFe剤として肥効を示した後にCECが高まるということがあるのが素晴らしい。
粘土鉱物(特に2:1:1型粘土鉱物)には腐植と結合して団粒構造を形成するといった機能もあり、CECが高い粘土鉱物程その傾向が高いので、
天然の緑泥石が多く分布するような箇所では上の写真のような栽培しやすそうな土を頻繁に見かける。
この恩恵にすがるべく、
緑泥石を含む粘土鉱物肥料を施肥した稲作では周囲の方が驚くような結果を見せた。
今年最大の出来事は物理性の改善 + レンゲ + 中干しなしの稲作によるインパクトを感じたこと
こんなにも素晴らしい緑泥石だけれども、この石に注目するようになってから、天然で緑泥石が分布している場所に訪れた際にその地域にある伝承で興味深い内容を遭遇することが多いということもある。
上記の内容に対してふと思ったことがあるので、今後の記事でそのことについて触れていきたいと思う。
余談
緑泥石は海成の堆積岩中にあるため、海水由来のミネラル(鉄、亜鉛や銅等)を豊富に含んでいる可能性がある。