植物は核酸系旨味成分を合成するか?の続きまでの記事で、核酸の合成を見てきた。
核酸といえば、作物に核酸の一種であるイノシン酸(IMP)を施肥すると発根が促進するという話題がある。
上記の話から少し脱線するが、
米ぬかボカシを施肥すると発根が促進されたという話があるが、これはもしかして、ボカシ肥中にイノシン酸等が増加したことに因るものなのか?ということが頭に浮かんだので考えてみることにする。
米ぬかボカシと核酸に関して、最初にぬか漬け中の旨味成分の増強についてを調べれば何かわかるはずと思い検索をしてみたが、該当する記事にはたどり着けず。
次にぬか漬けの発酵に関与する酵母や乳酸菌で核酸の合成に関与する事はあるか?という切り口で調べてみたところ、11 章 発酵食品の製造法 7.核酸・旨味物質 - 農芸化学という学問と社会 - 日本農芸化学会のページで糖類とアンモニアからイノシン酸を合成する酵母核酸分解法の記載があった。
米ぬかを発酵すると、米ぬか中に含まれるタンパクがアミノ酸に分解され、それらのアミノ酸から核酸が合成される。
米ぬかに付着していた酵母等が増殖する程、米ぬか付近の核酸の量が増加する。
植物は核酸系旨味成分を合成するか?の続きの記事で触れたサルベージ経路により、核酸は安易に無機化されずに再利用されるとのことなので、米ぬかに付着した大量の核酸も再利用され続けることとなる。
上記のような内容を読んで、こんな都合よく核酸が合成されるのだろうか?と思ったが、藤沢和恵等 パ ンの発酵による旨味物質イノシン酸およびグルタミン酸の生成と変動 - 日本栄養 ・食糧学会誌 Vol. 48 No. 6 494~497 1995で酵母によるパンの発酵で、イノシン酸が2倍に増え、グルタミン酸が1/2に減ったという記載があるため、米ぬかボカシでも発酵によりイノシン酸が増加する事は不思議ではない。
ここでいう米ぬかボカシはもちろん嫌気発酵による米ぬかボカシを指す。
関連記事