イノシン酸が発根を促進するならばまでの記事で植物が核酸のイノシン酸を吸収することで発根促進する理由を考えている。
この手の内容は以前も考えていたが、改めて考えてみたい。
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植物の体内ではイノシン酸から
NEUROtiker - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
アデノシン三リン酸ことATPが合成される。
このATPはエネルギーの貯蔵・運搬に用いられたり、DNAやRNAを構成する主成分となっている。
上記内容だけでも十分発根と関連していそうだが、他の用途も考えてみる。
植物でATP由来で重要な物質といえば、真先に思いつくのが、
Edgar181 - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
植物ホルモンのサイトカイニンだろうか。
サイトカイニンはATPのプリン塩基がイソプレニル化したものだとされている。
ただ、サイトカイニンはどちらかというと発根に対して抑制的に働くとされているので、イノシン酸の吸収で発根促進というのはしっくりこない。
核酸でもう一つ頭に浮かぶものが、
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ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドことNADHになる。
NADHは生体内で、
NAD+ + H+ + 2e- ⇄ NADH
の働きをし、電子の運搬に関与している。
Ed (Edgar181) - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
NADHはATPにニコチンアミドヌクレオチドが付与されることで合成される。
発根に関与するオーキシンの合成(アミノ酸のトリプトファン経由)にNADHが用いられるので、無理やりだけれどもNADHが間接的に関与していると言える。
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ニコチンアミドヌクレオチドの右側にあるニコチンアミドというのは、ビタミンB3ことナイアシン(ニコチン酸)から合成される。
NADの合成の一つにサルベージ経路(再利用のようなもの)があるので、もしかしてナイアシンは肥料として用いられるのでは?と疑問に思ったので検索をしてみたら、埼玉大学の研究で肥料としてシロイヌナズナにナイアシンを与えたら、植物の乾燥耐性が増したという研究報告があった。
ゲノムストレス応答におけるNAD代謝変動―空間的NAD代謝エピゲノム制御の提唱― | 京都大学
植物の乾燥耐性とバイオマス生産性を高める化合物を発見-農作物を乾燥に強くする肥料や技術の開発に貢献-(大学院理工学研究科 川合真紀教授 共同研究) - 埼玉大学
これからの栽培に対して、ナイアシンの肥効の話題にたどり着いたのは、大きな一歩となるのは間違いない。