橙色に色付いたクヌギの木の下での記事で、久しぶりにカロテノイドの事を考えたので、カロテノイド関連で何か話題があるかな?と検索をしていたら、加藤雅也等 カンキツ果実におけるカロテノイドの調節機構 カロテノイドを蓄積させるための様々な要因とは - 化学と生物 Vol. 60, No. 8, 2022にたどり着いた。


25426443_s


3760562_s


ウンシュウミカンやバレンシアオレンジの果実の色について、カロテノイドの合成を中心にして話題が進められ、カロテノイドの合成や合成の条件についての記載があった。

ここでちょうど、カンキツの成熟の過程が記載されていたので紹介する。




果実が熟すとな何か?の記事でカンキツはノンクリマクテリック型に分類されると記載した。

上記の読み物では非クライマクテリック果実と称していたが同じことを指しているのでそのまま話を進める。


収穫したがまだ色づいていないカンキツの果実(果実の色は緑)にエチレンで処理すると、緑色の色素であるクロロフィルが分解され、カロテノイドの合成が誘導される。

この内容は果実が熟すとな何か?の続きで記載したものと同じで、ノンクリマクテリック型でも追熟が存在していることを意味している。


緑色の果実にエチレンではなく、オーキシンで処理しても同様に果実が色付き始めたそうだ。

どうやらオーキシンによってエチレンの合成が誘導され、カロテノイドの合成と蓄積が促進されるようだ。


上記の読み物では冒頭の図に記載されていた内容になるが、カロテノイドは果実への養分転流ではなく、果実内で合成されるという事もわかった。




別の話題になるが、色付いた果実であるが樹から離していない(収穫していない)状態の果実にジベレリン処理をすると、果実が緑色になるそうだ。

カンキツにおいて、一度色付いた果実が緑色に戻ることを回青(かいせい)と呼ぶそうで、秋冬で実った果実を樹に付けたまま春まで収穫せずにいると果実の色が緑色になる。

果実に紫外線を照射することでも同様の現象になる。


ここらへんの話題はミカンの花芽分化と花芽形成の続きの内容と関連しているのだろう。


回青の話題を読んで真先に頭に浮かんだのは、


26562786_s

萩の武士とナツミカン


ナツミカンで、ナツミカンには回青はあるのだろうか?という事が気になった。


関連記事

六本樹の丘から田道間守の冒険を想像する