ポリフェノールの抗酸化作用の記事で、ポリフェノールのもつ抗酸化作用について見た。
上の図の左側にある
のベンゼン環に付いている2つのヒドロキシ基から2個の電子が放出され、
ポリフェノールはキノン体となり、周辺の化合物が還元される。
上記反応は栽培で活用出来る為に、今回はその内容を見ていく。
※当記事はポリフェノール鉄錯体と酸素供給剤で青枯病の発生を抑制の内容を再び触れる趣旨の内容になる。
森川クラウジオ健治著 茶殻・コーヒー滓が触媒に? 繰り返し使用が可能なフェントン反応 - 化学と生物 Vol. 54, No. 5, 2016でポリフェノールと鉄(塩化鉄など)を合わせることで、細菌に対する殺菌作用やアルカリ土壌での鉄肥料として効果を発揮するという内容が記載されていた。
殺菌作用は三価鉄をポリフェノールが還元することで、二価鉄になる。
この二価の鉄が過酸化水素を還元することで、
Fe2+ + H2O2 → Fe3+ + OH- + ・OH
のように強力な活性酸素を生成(フェントン反応)して、細菌に殺菌作用を示すようになる。
※H2O2、OH-と・OHは活性酸素を示す
ポリフェノール自身が鉄と錯体を形成するため、二価鉄の状態が安定することで、フェントン反応を触媒し続けるようになる(と考えられている)。
土壌中で二価鉄が安定的に存在することができれば、鉄の肥効も安定する為、アルカリ性の土壌で鉄が効きにくい環境であっても鉄剤を効かす事が出来るようになる。
鉄は光合成に関与する大事な要素なので、鉄の肥効が安定するだけでも栽培者にとっては相当有り難いはず。