モノリグノールの一種のシナピルアルコールの合成経路を見るの記事までで、リグニンの基になるモノリグノールについてを見てきた。
モノリグノールは3種有り、各々のモノリグノール同士が結合し合うことで大きな分子へと変わっていく。
次に気になることがモノリグノール同士の結合になるだろう。
羊土社 基礎から学ぶ植物代謝生化学に拠ると、ラジカルカップリングと呼ばれる現象により、モノリグノール同士が結合し合うそうだ。
というわけで、ラジカルカップリングについて検索をしてみた。
下記はGeminiに質問をして、返ってきた内容を整理したものになる。
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ラジカルカップリングとは、2つのラジカルが結合して、新しい共有結合を形成する反応を指す。ラジカルとは不対電子を持つ原子や分子片のことで非常に反応性が高い。
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この内容ではイメージしにくいので、モノリグノールの反応を見ていくことにしよう。
松下泰幸 リグニンの構造とその解析 分光法や分解法を駆使して,複雑な化学構造に迫る - 化学と生物 Vol. 61, No. 11, 2023にとてもわかりやすい記載があった。
モノリグノールの結合にはいくつかパターンがあるそうだ。
※図:松下泰幸 リグニンの構造とその解析 分光法や分解法を駆使して,複雑な化学構造に迫る - 化学と生物 Vol. 61, No. 11, 2023 図2を改変
上の図はモノリグノールのコニフェリルアルコールになるが、
※図:松下泰幸 リグニンの構造とその解析 分光法や分解法を駆使して,複雑な化学構造に迫る - 化学と生物 Vol. 61, No. 11, 2023 図2を改変
4位のヒドロキシ基とβの箇所が反応して、
※図:松下泰幸 リグニンの構造とその解析 分光法や分解法を駆使して,複雑な化学構造に迫る - 化学と生物 Vol. 61, No. 11, 2023 図2を改変
β-O-4結合により、モノリグノール同士が結合する。
他に
※図:松下泰幸 リグニンの構造とその解析 分光法や分解法を駆使して,複雑な化学構造に迫る - 化学と生物 Vol. 61, No. 11, 2023 図2を改変
コニフェリルアルコール内で上の図のように電子が移動した後、
※図:松下泰幸 リグニンの構造とその解析 分光法や分解法を駆使して,複雑な化学構造に迫る - 化学と生物 Vol. 61, No. 11, 2023 図2を改変
β-5結合による結合もある。
他にも記載はあるが、この場では触れないことにして、これらの結合方法により、モノリグノール同士が結合し合い、大きな化合物へと変化していくそうだ。
※リグニンの合成に関して更に詳しい内容
梅澤俊明 リグニン代謝工学によるイネ科バイオマス植物の育種 リグニンの量と構造の改変 - 化学と生物 Vol. 60, No. 11, 2022
学部生の頃は、リグニンは複雑で構造はわかっていないとされていたが、今はこんなにもシンプルに概略図ができているのを見れて、科学の発展は素晴らしいものだと実感する。