知らない間に溜まっている石灰で硫酸カルシウムが土壌に溜まって塩類集積の話を記載した。


硫酸カルシウムは他のカルシウムと比較して、若干ながら水に溶ける性質を利用すれば、降水で溶けて、降水が用水路に流れることで除塩できるんじゃないの?

という考えが浮かぶはず。


実際、この考えは正しくて、露地ではなかなか塩類集積は起こらない。

(ハウスで発生しやすい)


しかしだよ、日本には水田という極力水を逃がさない環境がある。

水田だけをずっとしているなら、常に入水と出水を繰り返すから良いけど、水の入れ替えが少ない水田とか転換畑とかだと、雨は地中に流れ込むことよりも、乾燥によって蒸散することが多く、土壌中に肥料成分が残りやすい。


そんなところで、硫酸カルシウムを溜め込んで、水がなかなか抜けない状態になると悲しきかな硫化水素(H2S)という有害ガスが発生するらしい。


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水を張りっぱなしの水田に鍬を刺すとぶくぶくと出てくるガスで、温泉の腐った卵の臭いというあれね。


すごい臭い。


こういう水田を老朽化水田と言う。

どんな反応でこうなるかというと、硫酸還元細菌が周囲にある有機物等から電子を取り出し、それを硫酸カルシウムに当てることで

CaSO4 + 電子を取り出すための有機酸 → Ca2+ + H2S + nCO2 + mH2O

こんな感じの反応を行い、硫化水素(H2S)を発生させる。

キノコは消毒液がお好き?


今、日本各地でこんな症状の水田が増えているらしい。

この状態になると何をするにもいろいろと厄介なんだよね。