先日、肥料として売られている粘土鉱物の中に黒っぽい砂が入っているけれども、この黒っぽい粒子は一体何なのだろう?という話題があった。
粘土鉱物肥料は2:1型の粘土鉱物で、これらは火山灰が海に堆積して含水鉱物として変成したものである。
火山灰は玄武岩質から安山岩質と粘性が比較的低い火山から火山灰で形成されている。
粘性が低い火成岩で黒っぽいものといえば、
(写真:株式会社誠文堂新光社 薄片でよくわかる 岩石図鑑 26ページ 普通角閃石より引用)
角閃石と
(写真:株式会社誠文堂新光社 薄片でよくわかる 岩石図鑑 29ページ 頑火輝石より引用)
輝石あたりかなと。
とりあえず、今回は角閃石に焦点を絞って、角閃石の一般的な化学組成を確認してみると、
Ca2(Mg, Fe)4Al(AlSi7O22)(OH)2
とされている。
カルシウムとマグネシウムを含む鉱物はそこそこ風化されやすく、アルミニウムを含んだ鉱物であるので、風化されたら粘土鉱物になる。
角閃石はどんな粘土鉱物になるのか?を調べてみたら、古い論文ではあるけれども、中心部はバーミキュライト、表面はカオリナイトに変成しているという報告があった。
バーミキュライトといえば、モンモリロナイトの構造と異なるけれども、モンモリロナイト並に保肥力が高い粘土鉱物である。
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カオリナイトは鉱物が最終的に行き着く粘土鉱物で保肥力は低め。
角閃石の中心部にバーミキュライトが多く、表面はカオリナイトが多いということは、表面は酸化による風化が進みやすい為、
角閃石 → バーミキュライト → カオリナイト
という変成ということになる。
肥料として角閃石を与えた時に、植物が角閃石から養分を取り出して鉱物が変成した直後に鉱物に対して腐植を入れ込むということが出来るのであれば、
角閃石の内側から非常に状態の良い土が誕生するということになる。
果して植物はこういう都合の良いことが出来るのかな?
そして、今回は火山灰と含水して変成したものをごっちゃにしたけれども、果して粘土鉱物肥料に含まれている黒い砂は角閃石で良いのだろうか?
更に言えることとして、粘土鉱物肥料にある黒い砂が角閃石等の有色鉱物であれば、ミネラルの供給源になりつつ、時間差で粘土鉱物になるので、良い事尽くめだろう。
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